Jリーグ ディビジョン1 第34節
2014.12.6 [SAT] 15:30 NACK

大宮

  • 21' 金澤 慎
  • 50' ムルジャ
2 - 0
1 前半 0
1 後半 0

C大阪

試合経過
メンバー

スターティングメンバー

GK 31 清水 慶記
DF 27 今井 智基
DF 18 横山 知伸
DF 17 高橋 祥平
DF 14 中村 北斗
90+2'
MF 23 金澤 慎
MF 22 和田 拓也
MF 41 家長 昭博
MF 4 橋本 晃司
77'
FW 8 ムルジャ
FW 11 ズラタン
88'

控えメンバー

GK 21 江角 浩司
DF 34 片岡 洋介
DF 30 渡部 大輔
90+2'
MF 5 カルリーニョス
MF 10 渡邉 大剛
MF 39 泉澤 仁
77'
FW 28 富山 貴光
88'

監督

スターティングメンバー

GK 21 キム ジンヒョン
DF 3 染谷 悠太
DF 14 丸橋 祐介
DF 16 安藤 淳
78'
DF 23 山下 達也
MF 5 長谷川 アーリアジャスール
87'
MF 11 楠神 順平
67'
MF 20 杉本 健勇
MF 25 キム ソンジュン
FW 9 永井 龍
FW 13 南野 拓実

控えメンバー

GK 27 丹野 研太
DF 4 藤本 康太
DF 7 新井場 徹
78'
DF 17 酒本 憲幸
67'
DF 19 小谷 祐喜
MF 26 秋山 大地
87'
MF 29 前川 大河

監督

試合詳細
10 シュート 11
9 GK 6
2 CK 4
10 直接FK 10
7 間接FK 2
0 PK 0
試合データ

主審

飯田 淳平

副審

岡野 宇広

副審

村井 良輔

第4の審判員

森川 浩次

入場者数

12,035人

天候

晴のち曇、弱風

ピッチ状態

全面良芝、乾燥

気温/湿度

7.1℃/44%
金澤、ムルジャのゴールで完勝するも、J2降格が決定
試合終了を告げるホイッスルが鳴っても、選手たちに笑顔はなかった。試合には勝った。2−0の完勝だったと言っていい。今シーズンの集大成を見せた。しかし、他会場の清水が甲府に引分け、勝点1を上積みした。この瞬間、アルディージャのJ2降格が決定した。
 
2014年の最終節。泣いても笑っても、これが今シーズンのラストマッチである。しかし、アルディージャはかつてない緊張感でこの最終節を迎えることになった。第33節を終えた時点でアルディージャは降格圏内の16位。15位の清水との勝点差は「3」だった。得失点差で並んでいたため、残留の条件はただ一つ。アルディージャが勝ち、清水が負ける。それだけだ。15時33分。緊張感が高まる中、運命のホイッスルが鳴らされた。
 
勝たなければいけないアルディージャが立ち上がりから攻めた。ボールをつないで、前へ、前へと推進力を高めていく。最初の決定機は3分。家長が相手DFを引きつけて、フリーの橋本がダイレクトでシュート。しかし、ボールは惜しくも右のポストをたたいた。6分には中村のアーリークロスにズラタンが走り込むが、わずかにタイミングが合わない。2分後には中村が左サイドからペナルティエリア内に侵入するが、クロスは相手DFにクリアされた。13分にも今井が右サイドからクロスを入れるが、走り込んだズラタンには合わない。だが、得点のムードは確実に高まっていた。
 
なおも攻めるアルディージャ。突破口を開いたのは、アルディージャの生え抜きである金澤だった。21分のことだ。家長からパスを受けたズラタンが、右サイドで相手DFをかわす。マイナスに折り返したボールを走り込んできた金澤がダイレクトで合わせ、ボールをゴール左隅に突き刺した。NACK5スタジアム大宮のスタンドが揺れた。ボルテージは最高潮に達した。その後もC大阪の攻撃をしのぎ切り、1点をリードしたまま前半を折り返した。

「未来を変える意思を持って、最後まで粘り強くプレーしよう」
 
渋谷監督に背中を押されて送り出された。再びゴール裏が歓喜に沸いたのは、後半開始早々の50分だった。左サイドの高い位置でボールを奪った橋本が中央のズラタンにパス。そのズラタンがダイレクトで折り返すと、鮮やかなパス交換から最後はムルジャが決めて、アルディージャがリードを2点に広げた。
 
守備ではセンターバックの高橋、横山が高い集中力でディフェンスラインを統率した。今井、中村の両サイドバックは、豊富な運動量でアップダウンを繰り返した。77分にピッチに入った泉澤は、持ち前のドリブルを生かして左サイドを果敢に攻めた。短い時間ながら、2本のシュートを打っている。88分に投入された富山も、積極的にボールを追った。終盤は人数をかけてきたC大阪に攻められたが、最後まで集中力を切らさなかった。90分に許した至近距離からのシュートは、GK清水が抜群の反応でセーブした。渋谷監督が就任して取り組んできた守備のオーガナイズは、完璧に機能していた。アディショナルタイムの3分をしのぎ切り、アルディージャが2−0の完封勝ちを収めた。
 
渋谷監督が就任した8月31日からチームは守備の立て直しを図った。初陣となった天皇杯4回戦の愛媛戦で逆転勝ちし、チームは上昇気運に乗った。J1リーグ戦でも第23節の鹿島戦の勝利をきっかけに6試合で5勝。順位も14位まで浮上した。しかし、その後が続かなかった。第29節の横浜FM戦以降、負けた試合はすべて1点差だった。勝ち切れなかった。
 
記者会見で渋谷監督は、目をまっ赤に染めた。「今日もバスが入るときに、ファン・サポーターの方が大応援で選手を後押ししてくれた。感謝しているし、うれしく思います。それがそのまま試合につながった。選手は最初からアグレッシブに戦って、チャンスを作り得点した。後半の苦しいときも、守備をしっかりとオーガナイズしていた。選手たちはベストを尽くして最高のパフォーマンスで勝ってくれた。今はただ、悔しい思いしかない」。そして最後に、「失敗で痛い目にあった人間は、必ず強くなる」と自身の思いを言葉に乗せた。
 
この悔しさを忘れてはいけない。今日の試合を忘れてはいけない。目の前で繰り広げられた光景を、選手たちの表情を私たちは目に焼き付けなければならない。すべては1年でJ1の舞台に戻ってくるため、そして、アルディージャの未来につなげるためだ。乗り越えられない壁などない。絶対に。

(総評:岩本勝暁/写真:早草紀子)

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監督コメント
監督 渋谷 洋樹
皆さん、1年間お疲れ様でした。今日もファン・サポーターの方が大応援をしていただき、選手を後押ししてくれたことに本当に感謝していますし、うれしく思いました。それがそのまま試合につながったと思います。選手は最初からアグレッシブに戦ってくれ、チャンスをたくさんつくり、それが得点につながりました。後半は「入りをしっかり」という、ずっと掲げてきたテーマを持って、逆にうちが得点できて、しっかりと守備をしてと、ゲームに関しては何も言うことはありません。選手たちはベストを尽くし、最高のパフォーマンスで勝ってくれたことに本当に感謝しています。ただ、今は本当に悔しい思いだけしかありません。

Q:この一年、何が足りなかったのか。
私が監督に就任したときにお話した『ボールがないところの守備』ということだけだと思います。アタックに関しては、我々は後ろからしっかりとつなぐこともできますので、そこがよりできていればと思います。いろいろとあると思いますけど、そこが1番で、そこを意識させてきました。

Q:“たら・れば”になってしまうが、「何かもっとできなかったか」と思う試合などはあったか。
負けた試合は全て、“たら・れば”なら何でも言えると思います。本当にベストを尽くして皆はトレーニングをしてくれていましたし、試合にも臨んでくれていたので、あとは本当に私の采配だけだと思います。本当にそこだけです。自分がより深く考えれば良かったなと思います。采配は何か1つというのではなく、一試合一試合ありました。

Q:1年でやれたこと、やれなかったことは何か。
私は守備のオーガナイズを意識してやってきました。端的に言うと、『ボール中心に行く』ということです。あまり勝てなかった時期は、相手を意識し過ぎて守備をしていたところがあったので、そこは私自身が残念に思う部分で、選手がそこで少し迷っている部分があったのかと思います。攻撃においては3つくらいのやり方を徹底しました。それは今日の得点もそうですし、他の試合でもそうですが、我々にラッキーゴールはなく、しっかりとボールを動かして得点にすると。手数を掛けてでも攻撃できる選手たちでしたので、攻撃面においては狙いを持った得点シーンがありました。ですが、それをもっと生み出すようなアクティブなミドルシュートなどももっとあれば良かったかと思います。それでも、ある程度は自分がイメージしていた攻撃はできていました。簡単に言うと、サイドからは攻撃ができ、中央でのコンビネーションがあまりなかったというのが、私自身の反省です。

Q:来季に向けての今の思いを聞かせてください。
質問をされなくても、最後はお話しようと思っていました。私自身、そこ(会見室前の廊下)に選手・コーチ時代の写真が飾られています。J2からJ1への昇格を決めた2004年、私はコーチとして昇格を経験しました。そこから監督が代わり選手が代わり、私は一回抜けましたけど、こういった形で帰ってきて降格してしまったことの責任は感じています。なぜなら、私はコーチとして監督としてやってきて、良いものを引き継いできてくれた歴史を壊してしまったからです。本当に悔しくて、悔しくて…。ここからどういうふうに立ち直らなくてはいけないかというのは、自分でしっかりと考えなければと思います。クラブはこの後もありますし、チームも続いていきます。選手はどこのクラブか分かりませんが、もちろん、大宮でやるかもしれません。先程ファンの皆さんにもお話しましたけど、失敗して痛い目にあった人間は必ず強くなると、私は信じています。監督になっていろいろと良い思いもさせていただきましたけれど、本当に悔しくて、これからどういうふうに持っていけばクラブにとって、チームにとって良いのかということを、精査していかなくてはいけないと思います。選手たちが最後の一戦に向けた準備をしっかりとやってくれたことに感謝していますし、クラブの方々もすごく後押ししてくれました。ムルジャ選手の獲得や、家長選手の補強などもしっかりやってくれたと思いますので、結果を出せなかったことに本当に責任を感じています。繰り返しになりますが、クラブは続いていきますので、今後も大宮アルディージャを応援していただければと思います。降格という1つの歴史になりましたけど、これをきっかけに立ち上がっていかなくてはいけないと思います。それはクラブに関わる人たちの課題かと思います。こういった形になったのは私の責任ですが、そういったことも考えさせられました。こういった記者会見になってしまったことも本当に残念です。ただ、ここから切り替えてやらなければいけないと思います。
選手コメント
FW 8 ムルジャ
おっしゃる通り今日の試合に関して内容は完璧だったと思います。相手を圧倒しました。自分たちで試合を支配しました。勝利にふさわしい内容のプレーができたと思います。

Q:貴重な追加点を決めました。ゴールシーンを振り返っていかがですか。
当然勝ちに行きました、自分たちが勝って、甲府も勝ってくれればJ1に残留ができたので、勝ちにいきました。勝つことはできましたけど、残念ながらもう一つの試合の結果が我々にとって都合のいいようにはならず、最終的に降格となってしまったことをお詫び申し上げます。一年間ずっと応援してくれたサポーターにもお詫びします。また、自分たちを支えてくれたクラブのスタッフにもお詫び申し上げます。残念ながら最終的には線が引かれて自分たちはその下にいることになってしまいました。

Q:チーム、選手、サポーターが一致団結して掴んだ勝利でしたが、試合前に皆さんと話をされましたか。
当然試合前は勝ちに行こう、勝たなくては何も得られるものはないのでベストを尽くしていこうと皆で話しました。実際に試合ではベストを尽くしましたし、試合に勝つこともできたのですけど、残念ながら降格という結果になってしまいました。試合の内容的には完璧だったのですが、このような結果ですので、今、言葉を選ぶのは難しいです。とにかく悲しいですし、残念です。でもこんな時こそチームですからいい時も一緒に、悪い時も一緒にこれを乗り越えたいです。今日は悲しい夜になってしまいました。

Q:この一年間はどんな一年でしたか。
半分のシーズンしかいませんでしたけど、ここに来たときは、皆さんと同じように残留できるものだと信じてやってきました。ただ残念ながら何かが少し足りなかったと、というのも90分を過ぎてからの失点をして勝点を失うということがよくあったので、そこの部分が足りなくてそういう結果になってしまったと思います。本当に残念です。このクラブに来て、周りの選手たちも本当によくしてくれて、スタッフもクラブの人たち皆が温かく迎え入れてくれたので、すごくこのクラブが好きになりました。ただ、結果が出なかったことが本当に残念です。

Q:来シーズンはJ2からのスタートです。たくさんのファン・サポーターが変わらぬ応援をしてくれると思います。来シーズンはどのようなシーズンにしたいですか。
このクラブはJ1にふさわしいものを持っていると思います。来シーズンですがJ2が簡単だとは思ってはいけないですし、チームとしても来年のことを考えてやっていかなくてはいけないです。簡単ではないということは絶対に忘れてはなりません。自分が見てきた中でもJ2の中にはかつてJ1で闘っていたチームもなかなか上がってくることができないので、J1に最も早く帰ってくるためにはそれに即したチームを作り、守っていかなくてはならないと思います。どうやらここまでのJ2を見ていると毎年リーグのレベルは上がっていて、J1に上がってくることは簡単ではないと思います。
MF 23 金澤 慎
降格が決まって残念な気持ちと、ファン・サポーターの皆さんに申し訳ない気持ちです。

Q:試合内容は本当にすばらしかったと思います。金澤選手は守備だけではなく、ゴールも上げました。ゴールシーンを振り返ってください。
あまり覚えていませんが、ズラタン選手がいいボールを出してくれたので当てるだけでした。自分だけのゴールではないと思っていましたし、2年前の最終戦で自分がゴールを決めて残留を決めた試合があったので、自分がゴールを決めたのでもしかしたら残留できるのではないかという気持ちでいたのですけど、結果としてこのようになってしまって残念です。

Q:いつも以上に、チームも金澤選手自身も残留に向けての気持ちが強かったと思います。
今日の試合に勝つために名古屋戦の後から切り替えて練習していきましたし、みんなが協力してチームが残留するためにいい雰囲気を作ったり、いい声掛けをしたりしてきて、それが今日の結果には結びついたと思います。残留はできませんでしたが、悔いの残らないゲームだったと思います。

Q:試合後のセレモニーではたくさんの温かい声援が送られていました。ファン・サポーターの皆さんにはどのような気持ちですか。
感謝と申し訳ない気持ちです。一年で自分たちはJ1に復帰するとサポーターの前で宣言しましたし、今日闘った選手も大宮アルディージャを一年でJ1の舞台に戻して、J1でプレーしたいという気持ちを持っていると思うので、僕自身もそうですし、来年は一年でJ1に復帰できるようにチームのためにベストを常に尽くすつもりでいます。
MF 41 家長昭博
本当に申し訳ないです。

Q:試合の途中、清水の情報は入っていたのでしょうか
知らなかったです。

Q:最後まで奇跡を信じて応援してくれたファン・サポーターがたくさんいたと思います
本当にサポーターの方もそうですし、チームメイトもそうですし、支えてくれた人もそうですし、チームの皆さんにも支えてもらいました。感謝の気持ちがありましたけど、結果で応えられなかったのは自分の力不足だと思いますし、申し訳ないです。

Q:残留を目標にやってきたと思いますが、降格となった原因を教えてください
自分の未熟さだと思いますし、自分自身に力がなかったと思います。

Q:来年はJ2という舞台ですが、来年への思いを聞かせてください
自分を信じて、チームを信じて、チームメイトとファン・サポーターを信じて頑張っていきたいと思います。
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