Jリーグ ディビジョン1 第10節
2013.5.6 [MON] 15:00 NACK

大宮

  • 67' ノヴァコヴィッチ
  • 84' 富山 貴光
2 - 1
0 前半 0
2 後半 1

広島

  • 77' 佐藤 寿人
試合経過
メンバー

スターティングメンバー

GK 1 北野 貴之
DF 27 今井 智基
DF 2 菊地 光将
DF 17 高橋 祥平
DF 8 下平 匠
MF 13 渡邉 大剛
MF 6 青木 拓矢
MF 23 金澤 慎
MF 9 チョ ヨンチョル
65'
FW 11 ズラタン
75'
FW 19 ノヴァコヴィッチ

控えメンバー

GK 21 江角 浩司
DF 34 片岡 洋介
DF 30 渡部 大輔
65'
MF 7 上田 康太
FW 28 富山 貴光
84'
FW 14 清水 慎太郎
FW 32 長谷川 悠

監督

スターティングメンバー

GK 13 増田 卓也
84'
DF 33 塩谷 司
DF 5 千葉 和彦
DF 4 水本 裕貴
MF 2 ファン ソッコ
70'
MF 6 青山 敏弘
MF 8 森崎 和幸
MF 16 山岸 智
46*'
MF 9 石原 直樹
MF 10 高萩 洋次郎
FW 11 佐藤 寿人

控えメンバー

GK 21 原 裕太郎
DF 17 パク ヒョンジン
46*'
MF 35 中島 浩司
MF 15 岡本 知剛
MF 26 井波 靖奈
70'
MF 36 川辺 駿
MF 24 野津田 岳人

監督

試合詳細
11 シュート 10
11 GK 8
5 CK 4
11 直接FK 8
2 間接FK 0
0 PK 0
試合データ

主審

松尾 一

副審

八木 あかね

副審

田中 利幸

第4の審判員

塚田 健太

入場者数

13,365人

天候

晴のち雨、中風

ピッチ状態

全面良芝、乾燥

気温/湿度

27.1℃/33%
“全員”の力で達成した7連勝
前節、大分相手に完勝を収めたアルディージャは、ホームで昨季王者の広島と対戦した。中2日で迎えるデーゲーム。日程も気候も選手たちに優しくないが、ゴールデンウィーク最終日のNACK5スタジアム大宮には、過去最多となる13,365人の大観衆が詰め掛けた。ファン・サポーターの前で首位を、さらには連続不敗記録を守れるのか。
 
ここまで7勝2分0敗、18チームで唯一無敗を守り続けて首位の大宮に対して、広島は4勝2分2敗の7位。とはいえ、3-4-2-1のシステムで磨き上げた攻守の完成度は抜群で、ACLグループリーグ敗退によってリーグ戦に懸ける思いも強いだろう。アルディージャの真価が問われる一戦。勝点をものにすれば、また一つ逞しさを手にできる。

スタジアムに最初の歓声が起きたのは2分。フリーでボールを持った右サイドの渡邉がクロスを上げて、ゴール前にノヴァコヴィッチとチョ ヨンチョルが詰める。ほんの少し呼吸が合わずシュートは打てなかったが、試合の入り方に問題はなかった。
 
最終ラインを押し上げたコンパクトな陣形のなかで、この日も組織的な守備が機能する。菊地が激しい寄せで石原からボールを強奪し、青木が髙萩に、金澤はパスの供給源である青山へとプレッシングを仕掛ける。佐藤、髙萩、石原のリズミカルなパス交換に対しては、菊地と高橋が絶妙なカバーリングで対応し好機を作らせなかった。両チームの選手たちの迷いのないプレーが緊張感を生み、どちらに転ぶか分からない主導権争いが続く。
 
最初にビッグチャンスをつかんだのはアルディージャだ。22分、ゆっくりとパスを回し、左サイドへボールを運ぶ。そこで、チョ ヨンチョルがスピードを上げて中央へクロス。緩急をつけた攻撃にマークが緩む。ノヴァコヴィッチが相手を外して決定的なシュートを放つが、GK増田のセーブの前に先制点は奪えなかった。
 
試合は、その後も両者譲らずの展開で進み、前半は両チームともゴールを奪うことなくスコアレスでハーフタイムに突入した。

より一層の集中力が必要となる後半の立ち上がり、アルディージャは連続してピンチを迎えてしまう。しかしここで存在感を見せつけたのは、青木が「必ず止めてくれるという安心感がある」と信頼を寄せる、守護神の北野だ。ファンソッコのシュート気味のクロスをパンチングで弾き、直後のピンチは足でボールをかき出してゴールを死守する。さらに相手CKからのピンチは、ゴール前にポジションを取った金澤が渾身のクリアで防いだ。
 
試合が動いたのは67分。「パスをもらう前に相手の足が止まっているのが分かったので、タイミングを外して特長のスピードで勝負しようと思った」と言う今井が相手を振り切り、右サイドから絶妙なクロスを上げる。ゴール前で相手DFの前へ出たノヴァコヴィッチが頭で応え、価値ある先制点につなげた。
 
その後も青木が立て続けに決定機をつかむ。高い位置でのボール奪取から放った左足のミドルは増田に弾かれ、CKのこぼれ球を拾って放った右足でのミドルは再び増田のセーブとクロスバーに阻まれる。惜しくも追加点とはならなかった。
 
一方、昨季王者は引き下がらない。直後のアルディージャのCKを奪うと素早いカウンターを仕掛けて、髙萩と井波がつないだボールを最後は走り込んだエースの佐藤が押し込んで同点。アルディージャとしては、一瞬の隙を突かれた格好の痛恨の失点だった。試合時間は残り約15分。中5日の広島に対し、アルディージャの選手たちは疲労の色が目立つ。太陽が容赦なく照りつけ、選手たちの影が伸びる。
 
1-1のまま時間が過ぎ、引き分けの気配も漂い始めた84分。歓喜を運んだのは途中出場の富山だった。北野のロングキックをノヴァコヴィッチが競り合うと、こぼれたボールに誰よりも素早い反応で飛び込み、その頭でボールをゴールに流し込んだ。しかし、歓喜は一瞬で途切れる。交錯した富山とGK増田が立ち上がれない。結局、2人は救急車で病院へ運ばれる事態となり、試合は22分間中断されることとなった。
 
結局、得点が入った84分の時点から試合が再開されたが、「ケガがケガだけに、うちの選手も大宮の選手も試合を動かすのは難しかった」とは森保監督。そのうえ突然の雷雨がスタジアムを襲い、4分のアディショナルタイムを含めた最後の10分は、雨中の総力戦の様相を呈した。そして、タイムアップ……。ただしチームメイトを、そして同じサッカー相手を思いやる両チームの選手たちは、複雑な表情でピッチを後にするだけだった。

アルディージャの選手たちは、最後まで死力を尽くして戦い抜いた。「トミ(富山)が取ってくれたゴール。ムダにしちゃいけない、絶対に追いつかれちゃいけないと思った」と青木が語ったように、最後は気持ちに支えられてボールを追っていたような気がする。この日、アルディージャは多くの困難を乗り越えて昨季王者から勝点3を奪い、7連勝を記録し、連続不敗記録を21試合に伸ばした。しかしいまはただ富山と増田、「2人が早くピッチに戻ってくることを祈りたい」(ベルデニック監督)

(総評:粕川哲男/写真:早草紀子)

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監督コメント
監督 ベルデニック
お互いに全力で戦っている以上避けられない部分があることは当然理解していますが、両チームの選手が怪我で運ばれるようなことが起こってしまい非常に残念に思います。広島の増田選手の状態が非常に気掛かりですし、富山選手ともども早くピッチに戻ってきてくれることを祈っています。
 
試合については、我々は広島よりも試合間隔が短かった分、非常に疲労した中で試合を迎えることになりました。広島とのコンディションの差が後半、あるいは試合終盤に影響することはある程度予想していました。特に前半は全体のプレーのリズム、自分たちの攻撃のリズムが非常に良く、2回ほど決定機を作っただけに、得点につなげられなかったのは残念でした。
 
後半は広島のほうがいいプレーを仕掛け、彼らのやりたいことをやらせてしまいました。ただ、ゴール近くまでは迫られましたが、本当の決定機はそれほど作らせませんでした。いろいろな要因があり難しい試合でしたが、最終的には勝利を得ることができて、大きな評価に値する結果だと思っています。

Q:富山の容態は?
意識は回復しました。現在病院に行っていて、それ以外の状況はまだ把握できていません。

Q:富山のゴールへ向かう姿勢について。
彼の持つ運動量やアグレッシブさ、また、攻撃だけでなく守備もしっかりできるという点で、彼に期待を込めて投入しました。

Q:富山や今井らルーキーが活躍しているが?
昨年終盤、11試合負けなしでシーズンを終えた後、レギュラー選手が2人チームを離れることになりました。新しく可能性のある選手として、今井選手、富山選手、そして高橋選手を獲得しましたが、チームにどれだけ早く馴染んでくれるかという若干の懸念もありました。しかし、チームを離れた2人のことを思い出す必要もないぐらい、3人はレギュラーとしてプレーし、チームの核となる選手に成長してくれました。今は当初の懸念材料もまったくありません。
 
彼ら3人が早くチームに馴染むことができたのは、我々が集団としてプレーできるチームであった、そういったことも挙げられると思っています。
選手コメント
FW 19 ノヴァコヴィッチ
Q:先制点の場面を振り返って。
今井からいいボールが上がってきましたし、私もタイミング良く走り込めました。点を取れたのはうれしかったですし、それでチームに勢いがついたことは良かったと思います。ただ、自分たちのセットプレーからカウンターを受けて失点してしまったのは反省しなければなりません。あのような状況になった時は何が何でも、ファールをしてでも止めるという気迫が必要です。私たちがいいチームになるためには、まだまだ学ばなければいけないことがたくさんあるということです。

Q:富山の決勝ゴールの場面を振り返って。
ゴールの瞬間に起こったことは、お互い力を出し切った中での出来事なので、サッカーでは良く起こることであり、つきものだとも思っています。もちろん起こってしまったことは非常に残念ですが、その中で、両チームのサポーターがお互いのファイトを称え合ったことに、サッカーの持つ素晴らしさを改めて感じることができました。2人とも、1日も早くピッチに復帰してくれることを願っています。

Q:今後への意気込みを。
まだJ1リーグ戦は半分も終わっていないわけですし、優勝を意識するのは早過ぎます。今まで通り1試合ごとにしっかり集中して、力を出し切ることが大事です。そうしたことを積み重ね、さらにいいプレーを続けていきたいと思います。
DF 2 菊地光将
Q:富山の執念の決勝ゴールの場面を振り返って。
気持ちのこもったゴールだったと思います。残った選手でトミのゴールをしっかり守り切りたかったので、結果が出て良かったと思います。「ありがとう」と声を掛けたい気持ちですが、まずは無事を祈りたいです。

Q:無失点が続いていた中で今日は失点してしまったが?
DFとしては失点してしまったことは反省しなければいけません。でも、完璧ではないながらも、崩されるシーンはそれほどありませんでした。また次の試合まで少し時間があるので、修正していきたいと思います。

Q:これで7連勝となったが?
僕たちはあくまでも1戦1戦戦っています。1試合1試合を大事に戦っている結果がこうなっていると思うので、そのスタンスは引き続き変えずに、今後も頑張っていきたいと思います。
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