Jリーグ ディビジョン1 第16節
2014.7.23 [WED] 19:00 カシマ

鹿島

  • 34' ダヴィ
  • 58' カイオ
2 - 2
1 前半 0
1 後半 2

大宮

  • 57' 家長 昭博
  • 68' ズラタン
試合経過
メンバー

スターティングメンバー

GK 21 曽ヶ端 準
DF 22 西 大伍
DF 23 植田 直通
DF 15 昌子 源
DF 16 山本 脩斗
MF 20 柴崎 岳
MF 40 小笠原 満男
77'
MF 25 遠藤 康
86'
MF 33 カイオ
77'
MF 28 土居 聖真
FW 11 ダヴィ

控えメンバー

GK 1 佐藤 昭大
DF 4 山村 和也
DF 6 中田 浩二
MF 10 本山 雅志
77'
MF 13 中村 充孝
MF 27 梅鉢 貴秀
77'
FW 19 豊川 雄太
86'

監督

スターティングメンバー

GK 21 江角 浩司
DF 27 今井 智基
DF 2 菊地 光将
DF 17 高橋 祥平
DF 30 渡部 大輔
MF 4 橋本 晃司
54'
MF 22 和田 拓也
83'
MF 10 渡邉 大剛
89'
MF 41 家長 昭博
FW 8 ムルジャ
FW 11 ズラタン

控えメンバー

GK 31 清水 慶記
DF 34 片岡 洋介
83'
MF 5 カルリーニョス
MF 13 チョ ウォニ
MF 38 増田 誓志
54'
FW 28 富山 貴光
89'
FW 32 長谷川 悠

監督

試合詳細
22 シュート 10
5 GK 13
8 CK 3
14 直接FK 12
1 間接FK 5
0 PK 0
試合データ

主審

家本 政明

副審

大塚 晴弘

副審

山口 博司

第4の審判員

森川 浩次

入場者数

8,840人

天候

晴、無風

ピッチ状態

全面良芝、乾燥

気温/湿度

26.8℃/87%
鬼門となる敵地で、2度のビハインドにも屈せず積み上げた勝点1
前節の広島戦後、大熊監督は「前半と後半で全く別のチームになった」とコメントした。確かに、ズラタンの強烈な一発と新加入ムルジャの2得点で追いついた後半を見れば期待を抱けるが、3失点した前半の内容には不安が残る。だからこそ選手たちの表情は険しく、懐疑的な言葉が多かった。二面性が表出したそんな広島戦から中3日、鹿島でのアウェイゲームはアルディージャの"真の力"が試される一戦だ。
 
鮮烈なデビューを飾ったムルジャがスタメンに名を連ね、ベンチにはもう一人の新加入選手のチョ ウォニも入った。Jリーグ屈指の地力を誇る鹿島相手に、アルディージャの選手たちはいかなる戦いを見せてくれるのか。県立カシマサッカースタジアムでのリーグ戦は過去2分7敗とこれまで勝ち星がない。鬼門となっている敵地で結果と自信を掴み取り、必ずや巻き返しにつなげたい。

序盤は両チームとも攻守に連動した動きが際立ち、引き締まった展開となる。この日のアルディージャは今井、菊地、高橋が3バックを築き、右アウトサイドに渡邉、左アウトサイドに渡部、和田と橋本がダブルボランチを形成。前線はムルジャを中央に家長が右、ズラタンが左に開く3トップに近い布陣を採った。
 
ポゼッションは鹿島にやや分があり、遠藤、カイオの両サイドを使った攻撃から何度かゴールを脅かされる。しかし、江角が身体を張ってチャンスには至らせない。27分、攻撃参加した西の折り返しにダヴィが飛び込んできた場面、さらに3分後、またも西のラストパスから土居に許したシュートは危険なシーンだったが、精度を欠いたフィニッシュに助けられた。ところが34分、警戒していたセットプレーからネットを揺らされてしまう。左からのCK。小笠原のグラウンダーのパスを遠藤がつなぎ、最後はダヴィに押し込まれた。
 
先制した鹿島はブロックを作って守り、そこからカウンターを繰り出す戦い方を選択。対するアルディージャはしっかりボールをつなぎ、菊地や高橋のフィード、渡邉や家長のスペースを突く動きでゴールを目指すが、思うように形を作れない。アルディージャは、1点を追いかける展開でハーフタイムを迎えた。

大熊監督から「もっと中盤でリズムを作ること。慌てず落ち着いていこう」と指示を受けて臨んだ後半、開始早々にチャンスが訪れる。鹿島のゴール前でムルジャとズラタンが息の合ったプレーを見せ、最後は振り向きざまに橋本がシュート。直後にもズラタンがゴールに迫り得点の気配を漂わせる。アウェイまで足を運んだファン・サポーターは、「オイ、オイ、ズィライオ!」のチャントで雰囲気を盛り上げた。
 
54分には、大きなブーイングのなか橋本に代わって増田が登場。古巣との対戦に際して「ただ勝ちたいだけ」と決意を語っていた背番号38が中盤の底に入り、さらに前線への圧力を強める。そして3分後、CKのこぼれ球に反応した家長が「ラッキーだった」と振り返ったシュートを押し込み、鹿島のサポーターを静まり返らせた。
 
1分後、アルディージャはカイオに技ありのボレーシュートを決められて再度リードを許すが、ゴールへ向かう積極性は衰えない。68分、再びCKの混戦から今度はズラタンがネットを揺らし、スコアを振り出しに戻した。追いついた2ゴールは、いずれも少ないチャンスにムルジャと渡邉が走り、粘り、なんとか掴んだCKから奪ったものだ。
 
その後もアルディージャの攻勢が続く。70分過ぎにはムルジャが立て続けにドリブルを仕掛け、GK曽ヶ端を強襲するフィニッシュ。80分には和田が相手ボールを力強く奪い、そのままゴール前へ。ズラタンがつないだボールをポジションを上げた増田が狙ったが、シュートは惜しくも相手に当たり枠には飛ばなかった。残り10分も両者の高い集中力と江角のファインセーブがゴール前で多くの興奮を演出したが、2-2のままスコアは動かず。勝点1を分け合う格好でタイムアップのホイッスルを聞いた。

アルディージャは2試合続けて、難敵相手に苦しみながらも勝点1を奪った。もちろん、改善すべき点はある。警戒していたセットプレーから失点し、同点とした直後にゴールを割られている。「負けなかったことは評価できるけれど、チームの状況を考えると勝点3を取らないといけなかった。この先、すべての試合、相手に関わらず強い気持ちを持って臨みたい」と反省したのはキャプテンの菊地だ。とはいえ大熊監督が「闘う姿勢と、人が走ってボールを動かすところは発展している」と語ったようにポジティブな要素もあった。決して奢らず、悲観せず、一つでも多くの勝点獲得を目指して戦い続けていくほかない。

(総評:粕川哲男/写真:早草紀子)

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監督コメント
監督 大熊 清
ここのところセットプレーから失点している中で、(この試合も失点したことは)非常に残念だったと思います。ただ、こちらもセットプレーで点を取っているので、(セットプレーの攻守共に)更に我々も詰めていく必要があると思います。後半にセットプレーから得点が入った訳ですが、流れを手繰り寄せられていないとCKやFKは取れないので、そういう意味ではある程度主導権を握れた時間帯もあったのだと思います。逆に前半、やはりあれだけセットプレーなどで押されるところも、前段でしっかり防ぐということと、ある意味あのトリックプレーはわかっていた部分もあるので、そこの個人のところや切り替えのところで、例えばファウルをして相手のボールになった時に切り替えの部分でかなり置いていかれていた部分がありましたし、以前からもかなり言っていますが、そこについてはさらに言っていかなければいけませんし、そこから穴になっている場面がたくさんあったので、それができないのであれば、また選手の選定も含めて考えていかなくてはいけないくらい攻守の切り替えというのは大切だと感じました。後半はそこで主導権を握れている場面が多々あったので、セットプレーの部分もそうですが、切り替えのスピードを上げていきたいと思います。

Q:後半に4バックに変更した際の指示をしたタイミングと意図を教えてください。
鹿島がワントップ気味で、かつ中盤も(高い位置に)入ってくるということで、最初は3枚、もしくは守るときには5枚にしました。主導権を握られてしまったところがありますが、前半は相手のボランチがうまいポジションを取れるので、ボールを持たれることはある程度仕方がないと考えていました。ハーフタイムに、あるタイミングで4バックにするというのは伝えていたので、スムーズに入れたかと思います。新しいメンバーも来て、(3バックと4バックは)両方やってきたので、選択肢を両方持ちながら、いずれはどんな相手にも主導権を握って出来るようにすることが良いですが、個々の特長を出すために、例えば途中出場して入ると逆にその方が力を発揮できる選手もいるので、良い個性がチームに出るように今後も良い意味で、システムという言葉ではなく役割を変えながら戦っていくのが良いのかと思います。

Q:2試合連続で後半に攻勢を仕掛けられる戦いができている反面、前半はシュート0本で終わっているが、悪い前半、良い後半の差はどこにありますか?
シュートゼロということは予想外であるが、鹿島の中盤にある程度ボールを持たれることは想定内でした。それで良いかと問われると、良いわけではないです。ムルジャに関しても足を攣っていたと思いますが、久しい90分出場ということで、もっと守備をやる事や多くのことをやるよりも、まずは90分ピッチに立つということで一番前に置いたという段階でした。彼もこのスタジアムも初めてであれば、(最近においては)試合の数もそんなにこなしていないので、(今日の試合を終えて)様々なことを感じていると思います。以前から言っているように、トップへの配給や、前線でキープする時間がないと、なかなか全体が上がれない部分もあり、立ち上がりの10分くらいはある程度行けましたが、やはり相手のボランチに時間を使われた時に両サイドが後ろに引っ張られて、両サイドがなかなか上がれないということが守勢に回ることになった要因だと思うので、そういう意味では今後思い切って後半みたいなサッカーをしていくことを含めて冷静に考えていくことが必要かと思います。

Q:広島に3対3、鹿島に2対2という結果は、現在の大宮の順位を考えると2試合連続で強豪に引分けることができたとも言えますが。
そんなに簡単ではないことだと思うので、選手たちを褒めてやりたい部分がある反面、今の勝点、前期の戦いに満足している訳ではないという意味では、ここをもう一つ超えるというのは簡単ではないことは分かっていますが、それを全員で超えるというところ、厚かった壁が少しずつ薄くなってはいますが、それを超える力をつけることが非常に重要だと思っていますし、J1全体の力はどのチームも全く変わらないので、一つ一つの集中力が更に必要なのかなと感じました。

Q:前節の試合終了後に『大宮の色』ということを話していましたが、今日の試合に関してはいかがでしたか?
皆さんに指摘されているように、なぜ後半は良いのに前半からできないのか、というのは、例えば相手も非常に力がありますし、走ることに関して完璧に劣っていたかというと、そういうことではなく、どんなに守勢に回った時でも取り返してやろうという姿勢が出てきています。では足が止まっていたかというと、負けていませんでしたし、そういう意味では今選手たちに言っているのが、闘うところと、人が走ってボールを動かすところ、多少後半になって鹿島に対してボールを動かせた時間帯もあったことなど、発展もあったと思います。そういう意味では、走るところをどうにか前半から、例えば家長が前半から気を利かせて引いてきたスペースを大剛(渡邉選手)が使って行くなど、もう少しコンビネーションや立ち位置をしっかりできれば、前半からもう少しボールを回せるかと思います。あと、途中から出た増田が非常に冷静に散らしてくれてチームに落ち着きを与えてくれたことも大きいので、メンバー構成も含めて冷静に判断していきたいと思います。
選手コメント
FW 11 ズラタン
二回リードを繰り返される中で、常に追いかける状態だったため難しい試合でした。運もあって2点を返すことができ、追いつくことができた事は良かったです。次はホームゲームなのでしっかりと勝ちに行きたいと思います。

Q:前節に引き続き得点を決めましたが、得点シーンを振り返ってください。
セットプレーの混戦からのゴールでしたが、たまたま自分のところにボールが来て、いかに速くシュートまで持っていくかというシュートでした。速く振り抜いたので上手い具合にボールがゴールに入ってくれました。

Q:ズラタン選手、ムルジャ選手、家長選手との連係の手ごたえや、三人で意識していることを教えてください。
新加入選手もいますし、システム自体も新しいので慣れていくまでに時間が必要です。試合を重ねてお互いのコンビネーションを高めていきたいと思います。三人とも得点能力がある選手たちなので相手にとって危険な存在になれると思います。これからさらに連係を高めていきます。

Q:アウェイでの勝点1となりましたが、どのよう捉えていますか?
レベルの高い難しい相手にアウェイで勝点1を取るということはとてもいいことだと思います。今、自分たちの置かれている状況というのは、勝点一つ一つが大事になってきます。次の試合はホームでやるので、ここで積み上げた勝点を無駄にしないためにも勝点3を獲りに行きたいです。

Q:次節の徳島戦は中3日での試合となりますが、どのような気持ちですか?
連戦自体には慣れていますが、今、夏で暑いですし湿気も多いため体力的には厳しい状況にあると思います。ただ、そうはいっても試合は来てしまうので与えられた短い期間の中でしっかりと休息を取って回復するというところに気持ちをおいて、次の試合でも頑張りたいと思います。
FW 41 家長 昭博
前半は苦しかったですけど、後半は少ないチャンスで追いつくことができて引分ける事ができて良かったと思います。

Q:そんな中ゴールを決めましたが。
ラッキーなゴールでしたけど、チームにとって大事なゴールだったと思います。

Q:ズラタン選手・ムルジャ選手と三人で意識していることはありますか?
三人の距離が遠くならない事を意識しろと言われていますが、今日の前半に限ってはボールポゼッションをされたので僕とズラタンが守備をやらざるをえなかったので(距離を近くすることは)難しかったです。

Q:アウェイでの勝点1についてどのように捉えていますか?
勝点はアウェイでも取らなければいけないですし、よければ勝点3が欲しかったですが、今は負けないことが大事なので、どんな形でも勝点を積み重ねていけるようにやっていきたいです。

Q:次節徳島戦は中三日での試合となりますが、どのような気持ちですか?
いつもと変わらず、しっかりと準備して試合に入っていけるようにやるだけです。
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