「WE ACTION DAY~準備編~」

WEリーグには「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する」という理念があります。

WE ACTION DAYは試合の設定されてないチームが理念推進活動を行います。VENTUSは初年度から「VENTUS ACTION WEEK」と銘打って1日だけでなく、1週間かけて理念推進に取り組んできました。WEリーグから「男女平等」「ジェンダー」「女性」のいずれかにあてはまる活動が求められており、VENTUSが選んだのは「ジェンダー」でした。残念ながらジェンダーについては、スポーツ界のみならず、日本は先進国のなかで最低レベルにあるということは報道でもよく目にします。日本が抱える大きな課題です。

VENTUS ACTION WEEKを行うにあたり、望月ありさ 選手、乗松瑠華 選手、井上綾香 選手、田嶋みのり 選手、村社汐理 選手、久保真理子 選手、村上真帆 選手が実行委員となり、活動を進めていくことになりました。最初のミーティングで実際に何を行うか話し合いましたが・・・テーマが難しいため、なかなか方向性を決めることができません。そこでスタッフとも話し合い、実情と課題を知るために、埼玉県男女共同参画推進センターでジェンダーについての研修を受けることになりました。

10月4日、練習後にさいたま新都心にある「With Youさいたま」にて男女共同参画についての基礎知識を約90分間、みっちりと講義を受けた選手たち。あらゆる資料を見るにつれ、日本の現実が明らかになっていきます。その中でも埼玉県下では、男女共同参画に関する条例を63市町村中39市町が制定しており(制定率61.9%)、全国的に見て高い条例制定率を持っていることに驚いていたのは望月選手です。

「埼玉県がいろんな制度にいち早く取り組んでいるというのを初めて知りました。全体的にジェンダー問題は、今はまだ変わっていないけど、埼玉県は変わろうとしているんだなと感じました」(望月選手)

一番選手たちが身近に感じたというのが「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」について。過去の経験や知識、価値観、信念をベースにして、何気ない発言や行動に現れる自分自身では気づいていない偏見のことをさすのですが、これは確かに誰もが無意識に行ってしまっていると気づかされました。例えば、「昆虫好き」は男の子を想像する、結婚というと女性の姓が変わると思う、ピンク=女子、ブルー=男子など、世のなかには当たり前のように捉えられていることもアンコンシャス・バイアス。日常の無意識のなかに偏見は根付いてしまっているから、まず「気づくこと」が大切なのでしょう。

VENTUSはVENTU ACTION WEEK期間中に地域の中高生との交流が計画されています。難しい課題だからこそ、これから社会を担っていく若い世代と一緒に考える貴重な機会です。熱心にメモを取っていた田嶋選手も何かヒントを得た様子。

「研修資料のなかに、付き合ってる彼、彼女との関係を見直すチェックリストがありました。
バカにされる、逆切れして怒鳴られる、殴ったり蹴ったり髪の毛を引っ張ったりされる、相手の顔色をうかがってしまうとか・・・リアルというか身近に感じられるのかなって思いました。私たちが受けた講義は少し難しかったので、一旦私たちのなかで整理して、やわらかく中高生には伝えることができたらいいなと思います」(田嶋選手)。

さらに望月選手も具体的なイメージが湧いてきたようです。

「グループワークにするといいかもしれません。ここから選手たちも課題をしっかり理解しないといけないですよね。結論を出す必要はないと思うんです。むしろここで正解が出せたら日本を救える(笑)。考えるきっかけ、気づくきっかけになればいいなと思ってます」(望月選手)。

一度に結論を導き出すことはできませんが、地域の人たちとジェンダー問題を考えていく——VENTUSのVENTUS ACTION WEEKがそのきっかけになるよう選手たちもここから知恵を出し合っていきます。VENTUSの前期のWE ACTION DAYは第2節(10月29日、30日)です。中高生と一緒に考えるジェンダー問題以外にも、男女問わず参加できるサッカー教室、オークションなどが企画されています。ぜひ参加して選手と一緒にジェンダーについて考えましょう。

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