ピッチを離れた坂井優紀選手は、いつも何かを楽しんでいます。いえ、むしろ常に何かにつけて爆笑しているといっていいのではないでしょうか。どんなことに喜びを覚え、笑顔が引き出されているのか、ジワジワとそこかしこに笑いが染みてくるような坂井選手のプライベートの表情に迫ってみました。

Vol.37 文・写真=早草 紀子

—坂井選手は常に笑い転げているイメージがあります（笑）
坂井　だいたいそんな感じです(笑)。でも、自分自身を分析すると･･･小心者！自信なし！めっちゃネガティブで、サッカーに対しては落ち込みやすいですけど、プライベートではあっけらかんとしてます(笑）。噂とかも気にならないし･･･あまり他人に興味ないのかな。

—では何に興味があるんですか?
坂井　趣味ならありますよ。ミシンを使ったり･･･一般的に言う“手芸”です。

—意外です!
坂井　カワイイ布とか探すのが好きで、見つけちゃったらそれを巾着にしたり、シューズケース作ったりしてます。で、失敗したシューズケースはマイちゃん(井上綾香)にあげたり･･･(笑)

—失敗した時の活用法までちゃんと考えられてるんですね(笑)
坂井　はい！もったいないので(笑）。もともと母がそういうのが得意なんです。でも自分で興味を持ったのはINAC神戸レオネッサ時代にナホ(川澄奈穂美)が裁縫とか、お菓子作りとか上手に作るのを見てたら自分もやってみたいなって思ったのがきっかけです。それでベガルタ仙台レディースに行ってから手を付け始めました。

—最初に作ったものは覚えてます?
坂井　それこそ巾着でした。｢こういうの作って｣とか言われたらすぐ作りますよ(笑）。使ってくれてるのを見ると嬉しいんです。

—短いオフだと何をしてますか？
坂井　マイちゃんと･･･

—ずっと一緒じゃないですか(笑）。飽きたりしないんですか？
坂井　飽きないですね。8、9年ずっと一緒にいるんですけど、ケンカにもならないです。よく、｢カップル!?｣って言われる(笑）。しゃべることなくても、一緒にいてもなんともなくて、しゃべることないねってしゃべってる感じ。でも、仙台のときは最初の1年とかはあまり話をしなかったんです。別々のグループだったんですけど、マイちゃんの友達がオーストラリアに住んでて遊びに行くって話を聞いて、ちょうど私たちもオーストラリア旅行の計画をしていたので、だったら一緒に行こう！という流れに・・・そこからの付き合いです（笑）

—今後、やってみたいこととかあります?
坂井　アウトドア！めちゃくちゃ興味あります。仙台にいたとき、リハビリがてら自転車を買っていろんなところに行ってました。その頃からキャンプに興味はあって、いつの日かテントや焚火台を買って、キャンプがしたいなと。でもいざとなるとタイミングがないというか、自分でテントを買うってハードル高いじゃないですか。結局はコテージ止まりになってますね。

—あれ？確か前々回のVENTUS PRESSで吉谷茜音選手がガチキャンパーの友達に触発されてすべて買い揃えたところで熱が冷めたって言ってましたよ。
坂井　え！めっちゃいいこと聞いた(笑)！

—坂井選手と言えば、働きながらサッカーをすることとプロ契約、いずれも経験していますよね。
坂井　プロ契約の方が体のメンテナンスに時間をかけられたりメリットも多いですが、働くことで感じる社会経験も必要だとも思うので、どちらも私にとってはいい経験になっていると思います。

—プロ意識があっても社会では通用しないこともあれば、社会経験があるからといってプロ意識がすぐ持てる訳ではない。
坂井　仙台のときはまだプロリーグじゃなかったですけど、ピッチに立ったらプロ意識を持てって言われてずっと夢中でやってたので、正直WEリーグになっても自分の中の意識は変わらないんです。

—女子選手はそういう考え方を持っている人多いですよね。もともとアマチュア意識でプレーしていないから。変わるべきは周りなのかもしれません。
坂井　でも選手もまだまだやれることはあると思います。動員数が減ってきてるのはすごく気になりますし、それも自分たち次第だと思うんですよね。

—真面目な話になっちゃいましたね(苦笑)
坂井　ダメなんですか(笑)？

—いえいえ(笑）。必ず遠征に持って行くものは?
坂井　ウェットティッシュ！

—何かこだわりが?
坂井　みんながよく使うので、そういうときにサッと出せるように。

—坂井さん･･･そういうのではなく、ぜひこだわりをお聞かせ願いたいのです(笑)
坂井　そっかそっか(笑)。こだわりといえば、スパイクは右から履いて、左を履いてから、左足の紐を縛って、右足を縛ります!

—流れるような作業！無駄な動きがない方が好き･･･な訳ないですね。
坂井　何を思い出してます(笑)？でも見てのとおり、無駄な動きしかしてないですよ。試合前に必ずすることとはもう一つありまして、絶対にケツメイシさんの｢逆転の発魂｣を聞いてから出て行きます！君もいいとこあるぜってケツメイシさんが言ってくれるんですよ。で、よし！って、自分にもいいところあるよねって言い聞かせて出ていきます。

—褒められて伸びるタイプ！
坂井　間違いない(笑)！アップテンポだし。夏におススメです。

—埼玉県でお気に入りスポットはありますか?
坂井　長瀞には何回も行ってますね。水辺は気持ちいい！かき氷も美味しいし、アイシングも出来ます(笑)

—坂井さんのおススメは実用性が伴っていいですね。今シーズンのVENTUSの推しキャラって誰ですか？もちろんマイキー以外で(笑)
坂井　フミナ(柴山史菜)！1対1のシュート練習をしていても、前のめりすぎて、なんでそこでこけた?っていうところでこけてる。必死になると｢･･･じゃん!･･･じゃん!｣って言い始めてその熱量になんだか気が付いたらこっちが笑顔になってること多いです。VENTUSの選手って一人一人キャラが濃い気がする。なんていうか･･･味があるんです。

—最後に。今後プライベートで挑戦したいことは？
坂井　割烹着を作る！

—最後までナナメ上回答ですね(笑)
坂井　ウチの母が割烹着派なので作ってあげたいんですけど、難しそうじゃないですか？あれは大物ですよ。次のオフで右袖、その次のオフで首元･･･ってがんばればシーズン終わる頃に完成してそうです(笑)

早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。