WEリーグ3季目は開幕2連勝スタート!

1111日、WEリーグ開幕! VENTUS3季目の挑戦が始まっています。リーグ自体はここまでに4節を終了していますが、VENTUSは第3節のINAC神戸レオネッサ戦が1213日(アウェイ)に設定されているため、1試合少なく、暫定で6位となっています。

文・写真=早草 紀子

開幕戦はアウェイでノジマステラ神奈川相模原と対戦したVENTUS。前半は鮫島彩 選手のチームファーストシュートで先手を取ろうとしますが、徐々に相手ペースに持ち込まれ、思うように展開ができません。幾度もシュートを浴びますが、シュートを“打たせて”いたというGK望月ありさ 選手のセーブや、乗松瑠華 選手のスライディング、クロスバーにも助けられ、ゴールを死守する守備陣。

そんな中、時計は進んで83分。ついに船木里奈 選手によってVENTUSに先制点が生まれます。途中投入の大島暖菜 選手が配球したボールから、ゴール前に詰めていた船木選手が確実に仕留めた決勝ゴールでした。

「アシストしてもらったので大島さんのお弁当を運ばせてもらってます(笑)」と2つのお弁当を持って取材対応をした船木選手。「後半の最初で交代するはずが、柳井(里奈)監督から『得点すると信じてるから』と言われました。相手のCBは知り合いだったので、自分の裏を取る際のマークがもう出来上がってた。自分が打開できなかったのはダメでしたね」と反省しきり。ゴールシーンは「中でハルナを呼んだんですけど、自分でシュートを打った!クロスじゃないんだ・・・って中で待ってたらボールがこぼれてきました(笑)」(船木選手)。

「あれ、クロスだから(笑)」と反論したのは通りかかった大島選手。「縦に抜いたときにDFのライン間が空いてると思ったのでもうちょっと巻いて船木選手に出そうとしてたんですけど、うまくいかなくてGKの方に飛んでいっちゃったんです(笑)。でもしっかり詰めているところは船木選手らしい。やっぱり点を取る選手なんだなって思いました」(大島選手)。2人の微妙にズレた展開によって、VENTUSは開幕白星スタートとなりました。

翌週はホーム開幕戦。今シーズンから参入したセレッソ大阪ヤンマーレディースを迎え撃ちます。この試合もなかなかスコアが動かず、緊迫した状況が続きました。それでも粘り強くプレスと奪取を繰り返しながら、そのときを待ちます。試合が動いたのはアディショナルタイム4分。セットプレーのチャンスをつかんだVENTUSはゴール前からこぼれたボールを有吉佐織 選手が中へ、それに大島選手がダイレクトで合わせ、勝利を引き込みました。

カップ戦チャンピオンとなったサンフレッチェ広島レジーナを迎えての第4節は、試練の連続となりました。後半に立て直し、2戦連続で粘り勝ってきたVENTUSでしたが、この試合でも前半からS広島Rのハイプレスに押し込まれ、苦しい試合入りとなりました。要注意とされていたサイド突破が武器のS広島Rの中嶋淑乃 選手に初めて許した突破から、精度の高いクロスを中で合わされて先制点を奪われます。痛かったのは、その6分後にも失点を重ねてしまったこと。

後半、阪口萌乃 選手が相手GKが一歩も動くことができないミドルシュートを鮮やかに決めて1点を返します。これが今シーズン、リーグ初得点の阪口選手。NACK5スタジアム大宮がこの日最も沸き上がった瞬間でした。「良い形でボールを受けることができ、体の向きで相手をかわすことができたので、良い軌道のシュートを飛ばせて良かったです。実は今日母の誕生日で()。家族がみんなで応援に来てくれていたので、母の誕生日にゴールをプレゼントできてうれしかったです。これからも積極的にゴールを狙っていきます。」とゴールへの意欲を語る。最後はS広島Rに逃げ切られ、1-2で試合終了。3戦目でVENTUSは初黒星を喫しました。

柳井監督も開幕から課題を感じていた前半の戦い。「ちょっと受けてしまってもったいなかった。今シーズン、しっかりボールをつなぎたいというのもありますが、前から圧をかけてくる相手に対して単純に相手を押し返す時間帯も必要」(柳井)だと振り返ります。

前半終了時には井上選手、船木選手がすぐさま柳井監督のもとに指示を仰ぎに行く姿も。「とにかく自分たちの距離が遠すぎて、全然ボールが入らず・・・。もうちょっと受けに行きたいけど、行き過ぎると前に誰もいなくなってしまう・・・」と苦悩していたのは井上選手。「次のマイナビ(仙台レディース)戦までには、突破口を見つけます! 」と改善を誓っていました。

なでしこジャパンの活動があったため、2週間のインターバルののち、129日にアウェイにてマイナビ仙台レディースと対戦するVENTUS。前半のビルドアップに工夫が施されれば、必ず変化は起きるはず。開幕戦から拮抗した1点差勝負を繰り広げています。連敗は避けたい第5節。ここまで発揮している粘り強さはそのままに、先制攻撃を仕掛けたいところです。注目のマイ仙台戦は9日、13:00にユアテックスタジアム仙台でキックオフです。

 


早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。

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