第4弾となる今回のキャリアサポート特集は、北川愛莉選手(株式会社ミライト・ワン)、林みのり選手(株式会社NTTExCパートナー)の両選手です。限られた就業時間のなか、両選手がいかにして業務を担っているのか、その工夫点や周りの方々との温かな関係性が垣間見える訪問でした。
「感じる変化は“話す量”と生活に生まれたメリハリ」北川愛莉(株式会社ミライト・ワン)
——最初にキャリアサポートとしてご自身の部署にサッカー選手が入ると聞いたときはどういう受け止めだったのでしょうか?
埼玉支店 企画総務部 担当課長 関口智英さん(以下、敬称略) 初めてのことでしたし、どう指導したらいいのかと思ったことを覚えています。結果、北川さんには現場の声として“ヒヤリとしたこと”を共有するシートのデータ化、事務用品の購入、請求書の処理などを実施してもらってます。最近は営業の補助業務もしてもらってますね。
——そもそもキャリアパートナーにご興味があったのでしょうか?
経営企画本部 広報部 広報部門 担当部長 加藤晴彦さん(以下、敬称略) 弊社はいろいろ社会貢献活動も行ってまして、ラグビー、野球、そしてサッカーなどのスポーツチームに協賛しています。大宮アルディージャさんに協賛していることで今回はご提案いただきました。社内では“クロスポイント”という組織をまたがる場を作ろうとしていまして、アスリートへのキャリアサポートという面から広げていければと考えました。
——責任重大です、北川選手!業務について10か月ほど経過しましたが、もう慣れましたか?
北川愛莉選手(以下、北川) 最初よりは(笑)。でも皆さん、面白いんですよ。いっぱい助けてもらってます。“ヒヤリハット”というヒヤリとしたことを書くシートをデータ化してるんですけどなかなか達筆な方もいらっしゃって…(笑)。でも最近はその前後の文字から推測することもできるようになりましたし、専門用語も少しずつわかってきている状況です。
——そのなかでも印象に残っているヒヤリ現象って?
北川 高所作業車でのことが多く挙がってくるんですけど、保安柵の確実な設置や保安柵内での作業について多く書かれていて、保安柵の大切さをあらためて知りました。あとは巻き込み確認の重要性が書いてあったので、私も巻き込み確認を念入りにするようにしてます。
——北川選手ご自身で感じる変化はありますか?
北川 話す量が増えたことと、生活にメリハリができました。“話す”ことに関しては、アクセス部の島﨑さんが話しかけてくださるので、それがきっかけだったような気がします。
埼玉支店 アクセス部 島﨑真佐人さん(以下、敬称略) サッカーを好きなこともあって、仕事の邪魔にならない程度に話しかけてます(笑)。こちらに来た電話も率先して取ってくれますし、仕事をお願いすると正確に作業が処理されて戻ってきます。仕事スピードも覚えも速いんです。
——北川選手、笑いが止まらないじゃないですか(笑)。メリハリが出てきたということですが、具体的にどういうところでそう感じますか?
北川 行動をルーティン化するというか、全部決めることにしたんです。練習から帰宅したら仕事に出るまでに洗濯をして干す、とか。デスクの椅子に座ることが仕事モードのスイッチになります。
——今後VENTUSとどんなコラボレーションをしてみたいですか?
北川 子供たちに高所作業車に乗ったりする体験をしてもらいたいです。子供たちは高いところ好きですよね?でも本当は私が一番乗りたいんですけど(笑)
関口 うちの車両は一般的ではないので、北川さんを通じて知ってもらうっていうのはいいかもしれないですね。
——とてもいいですね。では最後に仕事面での抱負を教えてください。
北川 皆さんから頼まれたことは即行動していけるような準備をしておきます!あ!頼まれてないことも、気を配りながら見つけていけたらいいなって思います。
「社会人としてのホウ・レン・ソウを見つめ直せた」 林みのり(株式会社NTTExCパートナー)
——仕事スペースに一歩入っただけで、モニターに林選手の写真が映し出されていたり、ポスターやグッズがあらゆる場所にあって、どれだけ応援されているかすぐにわかりました。
林みのり選手(以下、林) めちゃくちゃ嬉しいですし、前向きに業務に取り組めます。練習終わりに都内まで来るのは大変な部分もあるんですけど、出社したらいろんな方が「この前の試合良かったよ」とか「惜しかったね」とか話しかけてくれるので励みになります。仕事としては社員証や通行許可証関連の対応、備品購入、複合機の管理、VENTUS関連の発信などを行っているのですが、限られた出社時間なのでできるだけ質問する回数を減らすために必ずメモを取ります。
総務人事部 総務担当 担当課長 松本徹さん(以下、敬称略) 林さんは業務をきちんと一人で行っているんです。実は私も競技としてバドミントンをしていたので、彼女と同じ境遇でした。現役時代は午前中しか出社していませんでしたし、海外遠征も多かったんです。当時の自分は、ここまでできていませんでした(苦笑)。短い勤務時間内でも必ず何かしら結果を残す。出社しているときは必ず承認、確認メールは飛んできますし、何かしらで貢献しようとしていることは伝わってきます。
——以前、自分の行動は周りに見られているので、気にするようにしていると言っていました。
林 その思いに大きな変化はありません。まだまだ限られた業務ですがそこに責任感を持てるようになってきました。以前は自分の振る舞い一つで変わることがあるから、「VENTUSの試合観てみたいな」ってちょっとでも思ってもらえるように行動しようと思っていました。今はそこにプラスして自分の今後のキャリアとかも考えた上でやれることをやろう!って思って…。セカンドキャリアについて調べたときに必ず出てくるのが秘書検定とFPだったんですが、何も知らないから今、分厚い参考書を読み始めてみましたが…遠い道のりです(笑)
松本 自分を少しでも成長させようという気持ちが一番大事!年齢を重ねても、それがある人とない人では、最高到達点が全然違うはずです。
——プロリーグを戦いながら、業務をこなすことは大変なことですが、そのぶん、得られるものは倍になることもありますよね。働くことで得られたものとは?
林 サッカーのコミュニケーションと仕事上のコミュニケーションって似ているようで違うんです。サッカーをしてるときはそれが当然でも、社会人としての「ホウ・レン・ソウ」ができてないことってあるんです。自分で自分を見つめ直せました。サッカーだけしてたら、できてると思い込んでる自分がいたなって思います。
——そんな林選手は今、VENTUSとどんなコラボレーションをしてみたいですか?
林 私自身もExCのことを知ってほしいんです。私が働いていることを知ってもらうことで会社にも発展があるようにしたいです。今はVENTUSのスポンサーとして支えていただいてるんですけど、それをサッカーだけで返すんじゃなくて私がいることでいろんなところをつなげていければいいなって思います。
松本 もうすでに広告塔になっているし、今はサッカーで活躍することで会社とWin-Winになってると思いますよ。こういうシンボリックな選手がいることの効果はありますから。総務人事部内でコミュニケーションは活性化するし、彼女が頑張っているのを見たら、会社のメンバーも自分たちもがんばろうってなるし、お互いが活性化しています。
——林選手はきっとさらに恩返しをしたいんですよね?
林 そうなんですけど、でもサッカーでまずは返せるように頑張ります!NACK5スタジアム大宮に応援に来てくれたときには最低でも勝利!そこで私がゴールを決めたりしちゃったら大盛り上がりしてもらえるかも。そうなるようにミドルシュートをドンドン狙って行きます!
早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。