Vol.024「開幕直前! 番記者座談会 前編」【聞きたい放題】
Vol.024
開幕直前! 番記者座談会 前編

左から須賀さん、渡邉大剛さん、MCタツさん

いよいよ今週末に迫った明治安田J2リーグ開幕を前に、あの3人が再び集結!忌憚なき意見が飛び交った昨年末の前回に引き続き、クラブOBの渡邉大剛さん、オフィシャルメールマガジンでおなじみのMCタツさん、エルゴラッソの大宮担当・須賀大輔記者が、今シーズンの展望を熱く語り合ってくれました。
※3名の意見は、クラブの公式見解ではありません


今シーズンの補強の印象は?

須賀:まずは今シーズンの陣容、補強について話していきたいと思います。僕は霜田正浩監督が話されていたように、やりたいサッカーを表現するため、バージョンアップさせるために必要な選手がそろった印象です。それは練習を見ていても伝わってきます。もちろん、補強の量や質はまた別の問題として考えないといけないと思いますが、補強の意図はしっかりとしていると思います。

タツ:面白そうな選手で言えば、武田英寿選手、泉澤仁選手ですね。特に泉澤選手は頭抜けた存在の選手だと思っているので、彼の復帰はめちゃめちゃ楽しみです。あと、武田選手がどれだけ成長できるか。霜田監督は他クラブからレンタルで借りてきた選手は使うという筋の通った方だと思っています。もちろん、そこで結果を残せなかったら外されますけど、その意味では武田選手は開幕から使うのではないかなと思っています。

須賀:今シーズンの新加入選手はそれぞれ特徴のある選手が多いですよね?

タツ:足元のうまい選手を意識して取ってきていると思います。ただ、個人的な思いとしては、霜田監督のサッカーを実現させるならば、川崎フロンターレから選手を獲得してほしかった。なぜなら、霜田監督のやりたいサッカーを表現するためには“止める、蹴る”がすごく重要になります。川崎Fや、名古屋グランパスで風間八宏さんから指導を受けていた選手を獲るなど、そういう視点が欲しかったとは思いました。横浜FCが長谷川竜也選手を獲ったじゃないですか。川崎Fで出られない選手を大宮アルディージャに注入できれば、大きな戦力になると思っているので、僕はそこを期待していました。

大剛:正直、最終ラインとCFの層が薄いかなと思っています。昨シーズンから最終ラインの選手が多く抜けましたし、特にSBは薄いと感じています。もう一つ、CFは河田(篤秀)くんが軸になると思いますけど、連戦やもし河田くんがケガなどしてしまったら心配ですし、DFとFWの選手層は不安です。反対に、中盤はたくさんの選手を獲れたので、誰をどの位置で使うのか、悩ましい問題も出てくると思います。仮に[4-3-3]のシステムでやると考えたときに、本当に中盤3枚のポジション争いはし烈だなと感じています。


最終ラインの組み合わせ

須賀:ここからはポジション別に見ていきたいと思います。まずGKから。南雄太選手の完全移籍は朗報ですが、上田智輝選手、若林学歩選手との年齢と経験値の差は大きくGKで30代の選手がいないのは少し不安です。

大剛:シーズンを戦い抜くことを考えれば、3人であることも不安ですね。もしかしたらシーズン中に二人がケガをしてしまう可能性もあるので、その意味でも4人体制にしたいところです。

須賀:レンタル含め、シーズン中の補強はできるので、この3人のままシーズンを戦い抜くことは考えづらいですかね……。次にディフェンスのポジションは、攻撃面で特徴を発揮できる選手がそろった一方で、守備面を見ると少し強度や耐久性が足りないように感じてしまいます。

タツ:守備は心配です。SBに専門職の選手がいないように感じますからね。ただ、キャンプなどを見た限り、CBが本職の茂木(力也)選手はSBでもまったく遜色ないというか、「本職はSBじゃない?」と思うくらいの様子はありましたね。すでに霜田監督が求めるSBの動きを会得しているように見受けられます。とにかくSBはボールの受け方が大事だと思いますけど、左SBでも不自然さはまったくなかったですね。

大剛:茂木くんは3バックのCBをやっている印象が強くてSBのイメージはあまりなかったのですが、このDF陣の顔ぶれを見るとSBをやるんですかね。

タツ:裏に走るプレーもできるんですよ。だから、練習試合では柴山(昌也)選手が引いて、茂木選手が上がって行って、そこにパスが出てくる、といったシーンが何回もあり、可能性を感じるオーバーラップが見られました。

須賀:最終ライン全体で見ると、昨シーズンから両SBの馬渡和彰選手(浦和)、河面旺成選手(名古屋)が抜け、存在感が大きかった河本裕之さんが引退されて、多くの選手が入れ替わりました。これだけ主力の顔ぶれが変わると最終ラインの構築は難しいですか?

大剛:難しいと思います。キャンプ中にコミュニケーションを取ったり、練習試合を行ったりして精度を高めていくものですけど、前年と同じメンバーでやるのとは全然違いますね。今シーズンの軸で言えば、西村くんになるのでしょうけど、その相方を誰がやるか。経験値で言えば、田代くんの可能性はありますし、新里くんもいい選手だと思います。そこは組み合わせによってきますし、なおさらSBのチョイスも大事になると思います。


中盤は最激戦区

須賀:では、MFはどうでしょうか? 最も誰が出るか分からないポジションだと思います。

大剛:本当に分からないですね(笑)。これだけタレントがいるならば、対戦相手によっても変えられると思います。ただ、あまりリアクションの戦い方にならずに、自分たちのやりたいサッカーを確立してほしいです。特に中盤を逆三角形の形で考えれば、アンカーに誰が入るかによって色がかなり変わってきて、「今日の狙いはこうだな」と見えるかもしれないですね。

タツ:今シーズンはアンカーが一番のキーポジションですね。

須賀:昨シーズンの終盤は、三門雄大選手、菊地俊介選手、小島幹敏選手のセットが定番となり、その3人全員が今シーズンも残ってくれました。そこに、武田選手、三幸秀稔選手、大橋尚志選手が加わって、間違いなく幅は広がりましたよね?

大剛:終盤の主力だった選手のところに同じような力のある選手を当ててきた。そこはすごいですね。

タツ:いまパッと考えても中盤の候補者は7人くらいいますけど、正直、誰が出るか本当に最後の最後まで分からない。それくらいレギュラー争いはきっ抗していますね。

須賀:現代サッカーにおいては、システムはいろいろな考え方がありますけど、ここはロマンとして、霜田監督には(攻撃的な)逆三角形を貫いてほしいです(笑)。

タツ:霜田監督はポジションよりも役割を大事にしている部分は大きいですよね。ただ、間違いなく、今シーズンは前からプレスをかけたい意志は感じますし、そのためのインサイドハーフ2枚だと思っています。前から追うことで考えれば、例えばですが、三門選手、菊地選手、大橋選手の組み合わせは安定感があり、つないでくるチームは相当嫌だと思います。あとは、前からプレッシャーに行くのなら、CFは中野誠也選手のほうが有効かなと思いますね。


両ワイドの守備のコツ

大剛:前からプレッシャーに行くことを考えると、両ワイドの選手がすごく大事ですね。自分自身がそうだったんですが、このポジションは経験を積んでくると守備のコツが分かってくるんですよ。自分一人で相手選手二人を消すとか、1、2歩くらい寄せておいて目線でプレッシャーをかけておくとか、頭を使うことがすごく大事になってきます。バカ正直に守備をしていても相手はそんなに嫌がらないですからね。
例えば、右のワイドの選手の視点で言うと、相手の右サイドにボールがあるときのポジショニングがすごく大事です。相手CBにプレッシャーをかけてサイドを変えさせないようにすることが重要になりますね。対面にいる相手の左SBにそのまま付いていくことは、ある意味リスクはなくなりますけど、奪ったときにカウンターに出ていけなくなってしまいます。だから、相手の左SBのマークをうまくぼかしながら守ることがすごく大事です。(泉澤)仁はそれが得意ですね。うまく“サボる”。しっかりけん制はしておきながら、ボールが来たときに奪えてカウンターに出て行けるようにしておく。それができると、中盤の選手の負担は減らせます。

須賀:いまの大剛さんのお話のように、高い位置でショートカウンターに出て行くことを目指すならば、両ワイドのところでどれだけ奪えたり、限定できたりするかがキーになりますね。

大剛:相手がうまくなければそこで取れると思いますけど、全部をそこで取ろうとするよりも、コースを限定して、次で取れればいいと思います。中央に誘っておいて、そこでがっつり取るとか、そういう賢さは必要ですね。


攻撃陣の得点力は?

須賀:一方、攻撃面で見ると、霜田監督は常々「3トップで30点」と言っています。そこに関しては今シーズンの攻撃陣には期待できそうですか?

タツ:両ワイドの選手のプレースタイルを考えると、ドリブラーではあるけど、ラストパスをもらって決めるようなタイプ、逆サイドからのクロスに飛び込んで行くようなタイプではないですよね。

須賀:大剛さんは3トップの両サイドをやられていた経験もあると思いますけど、ここのポジションで点を取るのは難しいですか?

大剛:選手のタイプによりますね。僕はチャンスメーカーだったので、「自分が点を取ってやろう」とはあまり思っていなかったです。それよりも、「アシストできればいいかな。ゴール取れたらラッキー」くらいの感じでした。その視点で今シーズンのメンバーを見ると、確かに両ワイドはフィニッシャーではないのかなと感じます。

タツ:それならば、インサイドハーフのほうが中央にいるわけだし、ミドルシュートもあるので、得点は期待できるかなと思っています

須賀:確かに、昨シーズンは中盤の選手の得点数があまり伸びなかったですね。

タツ:シーズン後半に三門選手や菊地選手が得点するようになったけど、今シーズンは中盤の選手にも点を取ってもらうことが必要になってくると思います。前で奪える回数が増えたり、敵陣でプレーする時間を増やせれば、中盤の選手が得点する回数も増えてくると思っているので、両サイドが突破したボールに飛び込んで行くとか、高い位置で奪ってカウンターに出ていくなど、インサイドハーフの得点力が大事になってきそうです。

大剛:そうなれば、インサイドハーフの選手を含めて30点以上を目指して、河田くんには2ケタを必ず取ってもらいたいです。

須賀:昨シーズン、霜田監督になってからは、1試合平均2点近くの得点数を誇り、今シーズンは2点以上取って勝つことを目指していますが、それを体現できるだけの選手はそろいましたか?

タツ:やっぱり武田選手が頑張らないとダメですね。ゴールを期待される存在ですよ。意識を得点に向けてもらったら、左足の持っているモノは素晴らしいですから。遠目からでもゴールの可能性を感じます。

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