Vol.025「開幕直前! 番記者座談会 後編」【聞きたい放題】
Vol.025
開幕直前! 番記者座談会 後編

左から須賀さん、渡邉大剛さん、MCタツさん

クラブOBの渡邉大剛さん、オフィシャルメールマガジンでおなじみのMCタツさん、エルゴラッソの大宮担当・須賀大輔記者による開幕直前座談会。ポジション別の戦力分析を行った前編に続き、後編では今シーズンへの期待を語り合ってもらいました。どうやらお三方とも、あの選手の覚醒を待ち望んでいるようです。
※前回に引き続き3名の意見は、クラブの公式見解ではありません。


若手が伸びるシーズンに

須賀:前編ではポジション別に今シーズンの戦力を見てきましたが、改めてチーム全体で見た時には、どのようなチームに映りますか? 霜田正浩監督は「獲りにいったけれど、獲れなかった選手はいる」と認めている一方で、「いまいる選手でやれる自信はある」とも話していました。それは見方、捉え方によっては強がりな言葉に聞こえてしまう部分もあるかもしれないですけど、育てながら勝っていくことが霜田監督のチームなのかなとも感じていて、面白そうな選手はそろいましたよね。

タツ:今シーズンは選手の成長、伸びを楽しむシーズンでもあると思います。全員にチャンスがあると思っていて、スタメンが遠いと感じる選手が一人もいないと言っていいくらいです。そういう状況だと、選手全員のモチベーションが高くなり、成長すると思うので、チーム全体の底上げへの期待感はあります。

須賀:まさに先日、霜田監督も「昨シーズンの順位で考えれば、今シーズンの目標に昇格を掲げることは背伸びかもしれないけど、余白の部分で選手が成長していけば目指せない目標ではない」と話していました。

タツ:若い選手の伸びは、時に想像を超えてきますからね。個人的には奥抜侃志選手、貫真郷選手、柴山昌也選手などはグンと伸びる可能性があると思っています。彼らが伸びたら昇格争いもできる。あと、練習試合を見ていて特に推したいと感じたのは貫選手。右SBは彼に固定してほしいと思うくらいです。

須賀:貫選手のどこに魅力を感じたのですか?

タツ:まず、高卒ルーキーにもかかわらず、キャンプの練習試合では堂々とプレーしていました。基本技術に関しては、ポジション争いをするだろうライバルたちよりも、一つ抜けているかなと感じています。思い切りや安定感など、これからの部分もありますけど、霜田監督が好む“止めて、蹴る”の技術がしっかりしていて攻撃参加できることを考えれば、開幕スタメンの抜擢もあるのではないかという気はしています。

大剛:このメンバーを見たら、試合に出ることに飢えている選手が多いですね。武田英寿選手もそうですし、奥抜選手はもっとできる。髙田選手もケガがあったけれど、ポテンシャルはある。山﨑倫選手もそうですし、柴山選手しかり、ここ最近、アカデミーから上がってくる選手は速くてドリブルができるタイプが多いですが、いいものを持っている選手たちばかりです。若い選手はきっかけをつかめばグンと伸びます。もちろん、監督が使ってくれるかどうかにも左右されますが、最終的にはそのチャンスを自分でつかむしかない。泉澤仁選手も、カップ戦で結果を残して、ポジションを確立していきました。

昨シーズンの成績を考慮すると、今シーズンは10位前後くらい、もしくは一ケタ順位に入れればいいかなと思っています。しかし、若手の成長次第では、昇格争いをできる可能性を秘めていると思います。

外国籍選手ゼロをどう見る?

須賀:もう一つ、今シーズンのチームの特徴を挙げるとすれば、開幕時点では外国籍選手がいません。その点はいかがですか?

タツ:国籍はあまり関係ないと思っています。それよりも、「ここのポジションには一点集中で大金を投資して、大物選手を連れて来る」といった補強があってもよかったかなと。

須賀:例年、昇格するチームには強烈な外国籍選手のストライカーがいます。

大剛:結局そうですよね。J1、J2に関係なく、やはり外国籍選手はスペシャルな部分があります。昨シーズンもJ1に昇格したジュビロ磐田にはルキアン選手、京都サンガF.C.にはウタカ選手がいました。ただ、日本人選手だけでやるメリットは当然あると思います。基本的にはサボらない選手が多い。チームとして決めたことを体現しやすいというメリットはあるでしょうね。

タツ:料理におけるスパイスと同じで、違うサッカーカルチャーで育った選手がスパイスになることが大事になると思うから、そういう選手が欲しかったかなという思いはあります。空気を読まない選手が一人くらいいたほうが、よかったりしますから(笑)。その点が今シーズンは弱いかなと思います。チームとして行き詰まったときに、少し変化を加えられる選手が出てきてほしいです。

警戒すべきライバルクラブ

須賀:今シーズンのJ2で注目しているチームや、昇格争いのライバルと考えるチームはどこになりますか?

タツ:まず、J1から4チームも降格してきたことが、昇格争いを難しくしますよね……。開幕戦では横浜FCに胸を借りる感じになるでしょう。何より、外国籍選手が強烈ですから。

大剛:今シーズンはV・ファーレン長崎がやると思います。松田(浩)さんが監督になり、すごく締まったチームになりました。カイオ・セザール選手とエジガル・ジュニオ選手がいて、そこにクリスティアーノ選手も加わったじゃないですか。かなり強烈です。

タツ:セレッソ大阪に移籍した毎熊晟矢選手のポジションに、J1クラスの高橋峻希選手と奥井諒選手を獲りました。補強も的確ですよね。また、僕の中で面白いサッカーをすると思っているのはモンテディオ山形。ヴィニシウス・アラウージョ選手が移籍していなくなった点は心配な面ですが、半田陸選手の残留と山田康太選手の完全移籍は大きいと思います。木村誠二選手も素晴らしいし、徳島ヴォルティスから獲った小西雄大選手もいいので、すごく楽しみです。

須賀:それでは、大宮アルディージャが昇格プレーオフ出場圏の6位以内をキープしていくために、ポイントになることはどんなことでしょうか?

大剛:理想を言えば、スケジュールがかなりタイトなので、ターンオーバーしながら勝点を積み重ねていく戦いが必要です。それを実行できそうなメンバーはそろっていると思います。選手を休めながら、使いながら、競争させながら、右肩上がりでチームを作っていく。もちろん、沈む時期もあると思いますけど、その時期をなるべく短くしていけたら、6位以内に入っていける可能性はあると思います。

タツ:両ワイドの選手がどれだけ点を取れるかが、ポイントになるのではないでしょうか。「3トップで30点」は少し期待し過ぎかなと思っているので、少なくとも奥抜選手が5点、髙田選手が5点、柴山選手が5点は確実に取ってほしい。それくらいでないと、昇格争いは夢のまた夢かなと思います。

須賀:河田篤秀選手に15点取ってもらって、両サイドで7点ずつ以上なら30点に到達しそうですね。

タツ:ただ、ここまでの選手たちを見ていると、いい意味でチャレンジャー精神のマインドを持っていると感じるので、向上心などがいい方向に転がっていく可能性は、大いにあるかなと思います。

須賀:昇格候補である横浜FC、アルビレックス新潟と開幕2連戦で戦いますが、ここでどれだけできるかが、今シーズンを占いそうですね。

天賦の才を解き放て

須賀:今シーズン、期待している選手をそれぞれ聞かせてください。

タツ:一人は難しいので、二人でいいですか(笑)。

須賀:もちろん!

タツ:それならば、髙田選手と貫選手ですかね。髙田選手はスピードがケタ違いでした。キャンプの練習試合を見ていて、フェイントでも抜けるし、フェイントなしでスピードだけでも抜ける。アシストもしていましたし、突破力は異次元です。3年目は勝負の年だと思うので、期待値は高いです。

貫選手は堂々とプレーしていることが何よりですが、CBのカバーに入った時のプレーも問題なかったですし、とにかく周りが見えていて落ち着いています。シーズンが開幕してどこまでできるかは分からないですけど、楽しみな存在であることは間違いないです。

大剛:絞るのは難しいですね……。選べない(笑)。

タツ:本当にそう。今シーズンは期待したい選手がいっぱいいます(笑)。

大剛:確かに僕も髙田選手は見たい選手の一人です。ドリブルなど、時折すごいプレーを見せてくれます。今シーズンはどのようなプレーをしてくれるのか、また、シーズン通してどこまで自分の良さを出せるのか、楽しみにしています。

タツ:少し話は変わりますが、クラブに求めたいことは、アカデミーからトップチームに昇格させる前に、1回はトップチームで使ってほしいと思っています。そこではじめて、トップでやれるか、やれないかが分かる。今シーズンはU18でいい選手がいるなら、トップチームで使ってほしいです。

須賀:僕が期待したい選手は大山啓輔選手です。J1時代を知っている数少ない選手で、“生え抜き”の最年長。さらに在籍年数もチーム内で最長になりましたからね。プレー面ももちろんですけど、チームを引っ張っていく、クラブの顔になるという意味で、年齢的に考えても期待したいです。ピッチに立ってもらうことが一番ですけど、仮にそうでなくても、チームの象徴になってほしい思いが強いです。

大剛:大山選手とは一緒にプレーしていますし、仲もいいので頑張ってほしいと個人的にも思っています。これまで彼はプレッシャーを感じてしまっているところがあったかもしれないですね。トップチームに昇格してから、斉藤雅人さんが付けていた“15番”を背負い、ジュニアの1期生でもある。それに相応しいプレーや態度を見せなければと、気負い過ぎてしまって、背負わなくていいものまで背負ってしまい、過度なプレッシャーに感じてしまって、それがプレーにも出てしまっているようにも映ります。大山選手は技術がしっかりしていて、監督に求められたことを理解して実行する面はすばらしい。一方で、もっと大胆に自分を出してもいいとも思います。最近は殻を破りつつあると思っているので、もっと試合に出て、もっと自分を表現して“大宮に大山あり”と証明してほしいです。

須賀:大山選手は霜田監督のサッカーに絶対合いますよね。今シーズンは中心選手としてやってもらわないと困るくらいの思いです。

タツ:僕は昨シーズンの開幕前に、全く同じことを言っていたんですよ。「大山選手には今年こそ、チームの中心で王様になってもらわないと困る」と。2年連続で同じことを言っていることになるけれど(笑)、それくらいの選手です。大山選手は天賦の才を持っていますから。

大剛:アカデミーから上がってきた選手を見ても、うまい選手は本当に増えたと思います。指導者のレベルが高くなったり、クラブとして同じ方向性のサッカーを目指したりと、トップとアカデミーの差があまりなくなってきたと思います。その中でも、大山選手は突出した才能を持っていますからね。やってくれるでしょう!


開幕戦から複数得点

須賀:最後に開幕戦の展望をして締めたいと思います。横浜FCが昇格候補の筆頭であることは間違いないと思いますが、このタイミングでやれることはプラスでないですかね?

タツ:プラスだと思いますね。大宮は霜田監督が昨シーズンから指揮しているけれど、横浜FCは今シーズンからチームを作っていて、タレントが多い分、チーム作りが大変そうな部分もあると思います。

須賀:今シーズンから目指しているスタイルが、ハマりやすい相手でもあると思っています。

タツ:GKのスベンド・ブローダーセンから点を取るのは大変そうですけど、こっちだって南雄太選手は燃えるでしょうからね。

須賀:選手として、やはり開幕戦は特別ですか?

大剛:そうですね。まずは全員がそこを目指して始動しますし、みんなモチベーションは高いと思います。そういう部分も加味して、期待を込めて2-1で大宮の勝ちと予想します!

タツ:僕も2-1。まずは、2点取るサッカーを開幕から見せてもらいたいです。そして、希望としては、武田選手と河田選手に取ってほしい。この二人がカギですね。

須賀:希望を含みますが、2-1、3-1は十分にあり得るスコアだと思いますね。開幕戦は勝ちましょう!

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