今季、VENTUSの11番を背負っているのが阪口萌乃 選手です。ピッチ上で見せてくれる頼もしさと、ピッチをおりたときのギャップが大きいというのも、彼女の魅力の一つではないでしょうか。マイペースに見られがちな彼女が現在ハマっているものを深堀りしてみました。まっすぐに自分自身と向き合う阪口選手の芯の強さに触れてみてください。
Vol.47 文・写真=早草 紀子
—アルビレックス新潟レディース、INAC神戸レオネッサ時代もサッカーに集中できる環境に触れてきました。
新潟Lのときは、役所に務めさせてもらっていた時期もあったんですけど、なでしこジャパンに招集される機会が増えていったことで、状況が変わっていきました。いざサッカーに集中できるようになると、それはそれで「こうでなきゃいけない」と勝手にプレッシャーを感じているところもありましたね。
—その中で自分のために使う時間も増えると思います。どういうことに一番時間を割いているんですか?
はじめの頃はコーチや監督とマンツーマンでトレーニングすることも多かったです。それに慣れてくるとようやく自分のことに向き合うことができるようになる。最近は“学び”に多くの時間をかけています。
—“学び”とはどのような?
自分は勉強するってことができないタイプだったんですけど、30歳になってようやく学ぶ姿勢になったというか…そういう扉が見えてきた感じです。ずっと、思っていることはあっても、それをなかなかうまく言葉にすることができませんでした。そんなときに、サッカーの指導もしていて、メンタルトレーニング面にも明るい方がいて、実際に学んでみると、絶対的に役に立つ!って実感しました。自分の性格とか、どうやってこの道を辿ってきたのかっていうのを振り返ったりするんですけど、いろいろ腑に落ちることも多かったですね。
—確かに、会話の中の言葉数がすごく増えたように感じます。
そうなんです!少し言語化できるようになってきたのは、成長できてると感じる部分です。…もちろんまだまだなんですけど。今でも話せないときはそれはそれはひどいありさまで(苦笑)。SNSでのライブ配信のときなんかは、もう事故レベルで…自分でも焦りました。でも、今学んでいることってサッカーじゃないところでも成長できる要素がたくさん含まれてるし、将来的に学んだことを誰かに伝えられるといいなとも漠然と思ってたりもします。
—具体的にはどんなことをしてるんですか?
週に2回程度Zoomで学んで、その後はそれをアウトプットする作業をする…みたいな感じです。楽しいですよ!
—日々のトレーニング後にやってるんですか?
午後は日によって個人のトレーニングが入ったりもするんですけど、時間があったら学ぶことに時間を割いてるかも。でも何かしら午後に予定があるときって必ず一時間ほどお昼寝をするので、切り替えられます。うん、お昼寝は大事ですね。ただ寝すぎることもあって、外が暗くなってると「あれ?朝!?」って慌てることもあります(笑)
—わかります(笑)。夜はのんびりと過ごすんですか?
それが…めちゃくちゃ早く寝るんです。何も予定がなければ21時過ぎには布団に入りたいのでそれほど、時間はないんです。朝は5時台には起きますし。だからテレビもほぼ観ないです。
—オフには何をしてますか?
勉強(笑)。
—一回、学びから離れましょうか(笑)
でもゲーム好きな人は、ちょっとした隙間時間でも、逆に時間があれば一日中でもゲームをするでしょ?私の今の学びはそれと一緒なんです。
—なんか納得です。では今は趣味とされるものに興味はないですか(笑)?
ありますよ~例えばアロマ。試合前もいろんなところにアロマオイルを塗りまくってます。モチベーションを上げるもの、気持ちを落ち着かせるもの…オイルにはいろいろあって、そのときの自分のコンディションに合わせてオイルを選びます。足の裏とかに塗るのもおススメ。ペパーミントとかは集中力が高まるのでこめかみに塗ったりもしますね。
—確か鮫島彩 選手もアロマに詳しいですよね。
そう!この前もハーフタイムに「ねえねえ、ペパーミント持ってる?」って聞かれて「持ってる!持ってる!」って二人でスーッて香りをかいでましたね(笑)。いくつもオイルをポーチに入れて持ち歩いてるので、たいていの要望には応えられます。
—しっかり自炊派ですか?
食べなきゃいけないので作ることはします(笑)。試合前日は豚肉と白米をしっかり取りますね。レシピを調べるのはもっぱらYouTube。今おススメするのは料理人の笠原将弘さんがやってる「料理のほそ道」!すごい凝ってるものから、簡単にできるものまであって、鳥の皮はここで使わないなら取っておいて、冷凍しといてスープに使えるよとか豆知識も入ってるので助かります。
—〇〇愛、これは負けません!というものを教えてください。
愛犬・ぽこちゃん愛です!7歳のチワワで正式には「ぽこまろ」です。ローマ字にするなら“こ”は“C”です!
—そのこだわりは何(笑)?
“K”だとカクカクしてるから、“C”の方が可愛いでしょ?まあ、ローマ字で記入する機会はほぼないですけど(笑)
—一番の可愛いポイントは?
そりゃ全部ですよ。甘えてくるところがもう…カワイイ!タッチもクルンもやりますよ。伏せしてバーンって撃つマネすると倒れるじゃないですか。それをぽこちゃんはすっごいテキトーに流すんです。ちょっとだけ身体を傾けて「これでいいっしょ」みたいに。メンドくさいんだよね、しかもこんな堅い床でできないよって顔しながら(笑)。
—一緒にお出掛けすることも多いですか?
散歩に行くくらいでまだ遠出はしてないかな。個人のトレーニングに行くときに連れていくこともあります。VENTUSのチームメートも犬好きが多いじゃないですか。でもまだ犬会はできてないんですよね。あ!この前、(乗松)ルカのところに遊びに連れて行きました!犬同士会わせたんですけど、ぽこ、ずっと吠えられてました(苦笑)。そんな面も含めて癒される日々です。
早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。