今野浩喜の「タダのファン目線記」VENTUSスタッフ



突撃インタビューシリーズ 今野浩喜 vs 大宮アルディージャVENTUSスタッフ


今野さんがタダのファン目線でクラブ関係者に逆取材を敢行! 今回の相手は、9月に開幕を控えている大宮アルディージャVENTUSのスタッフ。立ち上げ時期の忙しさを感じさせない、まじめな人柄がにじみ出るインタビューとなりました。


エルフェンからVENTUSへ

太田「初めまして。太田と申します。よろしくお願いします」

今野「お願いします。今日は何時に起きました?」

太田「今日は6時ですね」

今野「はやっ」

太田「いつも早起きはしています」

今野「なんでですか?」

太田「朝に準備しないといけないのと、住まいが少し遠いので……」

今野「そんなに遠いんですか?」

太田「所沢に住んでいます。生まれも育ちも所沢で」

今野「大宮アルディージャVENTUSができたと同時に入社したと伺いましたけど……」

太田「じつは、今回『WEリーグ』にも参入している『ちふれASエルフェン埼玉』に5年間、スタッフとして在籍していまして。そこから移ってきた感じです」

今野「なら、このコーナーの存在は知らないですね」

太田「いえいえ、前職のときから拝見していました」

今野「そんなことあるんですか?」

太田「他チームの情報をいろいろ見てたというのもありますし、知り合いが多いクラブでもあったので、チェックしていました」

今野「他チームといっても、めちゃくちゃな数があるじゃないですか」

太田「そうですね(笑)」

今野「でもまぁ、全部は見てないですよね?」

太田「はい。全部は……」

今野「どの回を覚えていますか?」

太田「小島さん(デジタルマーケティング担当)とか濱野さん(スタジアムグルメ担当)とか美馬さん(クラブ広報)とか、そのあたりの回は拝見しました」

今野「俺、自分で読んだことないですからね」

太田「あははは……」

今野「お仕事は何をされているんですか?」

太田「VENTUSの営業をメインに、チケットとかグッズとかファンクラブとか、いろいろなことをやらせていただいています」

今野「ホント、いろいろですね」

太田「はい。日々勉強させていただいています」

今野「普通そんなにやるもんなんですか?」

太田「どうでしょう?」

今野「1人でやっているんですか?」

太田「1人ではないですが、男子チームのスタッフにも手伝ってもらいながらやっています」

今野「むしろ、『WEリーグ』が始まる前のいまが、一番大事な時期ですね」

太田「そうですね。ゼロからチームを作るところで、いろいろな覚悟を持ってVENTUSに移籍してきてくれた選手も多いですし、周りの方々の期待も大きいので、僕も微力ながら力になれたらと思っています」

今野「どういう宣伝活動をするんですか?」

太田「まずは埼玉県内の方々に広く発信させていただくっていうところですね。知ってもらって、好きになってもらって、スタジアムに足を運んでいただくための取り組みをしています」

今野「何か手応えってありますか?」

太田「まずはパートナーさんが多くついてくださったことが、手応えとしてかなり……。今後練習着のお披露目もあると思いますが、かなりの企業さんにご支援いただけました。新規で立ち上げたチームとしては、かなりの数だと思います」

今野「逆にしんどいことは何ですか?」

太田「いや、しんどさは本当になくて、楽しくお仕事をさせていただいています。一番は支えてくださるパートナーさん、応援してくださるファンの方々、来てくれた選手たち、みなさんが笑顔でいるための環境を作るのが僕の仕事だと思っているので」

今野「ほ〜(深く頷く)」

太田「だから、苦に感じることは全然ないです」

今野「朝6時起きるってだけで、俺は苦ですけどね」

太田「あははは……」

今野「今日は何時に起きたっけ? 9時に配達が来て起こされたんだ。最近EUROのせいで変なサイクルになってきちゃってるんで」


太田さんの意外な経歴

太田「……僕、じつはサッカーがあまり詳しくなくて、ずっと野球をやってたんですよ」

今野「所沢で野球って言ったら、もうライオンズファンですか?」

太田「はい。仕事も野球選手のマネージャーとか、いろいろなことをやっていました」

今野「ライオンズのマネージャーですか?」

太田「個人マネージャーでした。歳が栗山巧とかおかわり君(中村剛也)と一緒で、栗山のマネージャーを何年かやったり、松井稼頭央選手の自主トレーニングのパートナーをやらせていただいたりしていました」

今野「ちょっと待っててください」
(「ほら」と言って栗山選手のユニフォームを持って登場)



太田「あははは……」

今野「埼玉西武ライオンズと大宮アルディージャVENTUSでは、失礼ながら規模が全然違うと思うんですけど。どうなんですか?」

太田「松井選手の自主トレの場に、ちふれASエルフェン埼玉の選手たちが来たのが女子サッカーと関わるきっかけでした。若いのにサッカー命でやっているところに心を打たれたんです。自分は所沢で生まれ育ったのに、地元にそんなサッカーチームがあることも知りませんでした。そんなことで、何か地域のお役に立てればと思って女子サッカー界でお仕事させてもらうことになったんです」

今野「へ〜。もともと野球をやってたんですか?」

太田「はい。高校までやってて、大学のときは学生コーチとして母校を指導していました」

今野「トップの野球選手とVENTUSの選手を比べて、意識の違いを感じることはあります?」

太田「いや、彼女たちも人気が出れば環境が良くなると思います。これまではアマチュアの環境に近く、そのあたりが教育されていなかったのかと感じます。そこはもったいないと思いますし、今後、彼女たちの環境は良くしたいと思います」


立派すぎるがゆえに……

今野「さっきから、お話をうかがって人としてすごくでき上がってる感じがありますが、どういう家庭環境だったんですか?」

太田「普通に両親と妹が……。若いうちからいろいろな経験をして、人脈などを作ることができました。当時はわからないことだらけで、たくさん失礼をしたとは思いますが、その経験が財産になっていると思います」

今野「たぶん、若いときからできた方なんでしょうね」

太田「いえいえ」

今野「自分が人のためとかひとつも考えないから、太田さんを見てると眩しいし、嘘つけという気持ちにもなるんです(笑)」

太田「なんですか、嘘つけって」

今野「なんか、立派過ぎて逆に信用ならないみたいな(笑)」


太田「あぁ」

今野「いや、でも本当にそういう人っているんですね。だから、すごいですよ。次回は、ご両親にインタビューしたいですね。逆に、僕に質問とかありますか?」

太田「まずは、今野さんに女子の試合を見にきてほしいなと思いますし。機会があれば、練習とかも」

今野「VENTUSの練習を見に来る人も多いんですか?」

太田「たくさんいると思います。注目度はかなり高いので」

今野「どこでやってるんでしたっけ?」

太田「いまは十文字学園女子大学のグラウンドなどが多いですかね」

今野「あそこ、そんなにでかいんですね」

太田「すごく綺麗な設備が整っていて」

今野「僕は行き来しかしてなかったんで(今野さんは十文字幼稚園出身)。選手たちは、武蔵野線で通っているんですか?」

太田「いや、ほとんど自家用車じゃないですかね」

今野「それにしても太田さんはすごく聡明というか、お話が上手ですね」

太田「いやいや」

今野「ちょうどいい返答の長さで返してくれるというか」

太田「本当ですか?」

今野「大きく分けたら、はいかいいえしか言ってないというか」

太田「はいはい(笑)。今野さんはお忙しいと思うので、手短に」

今野「やっぱり、教育がよかったんでしょうね」

太田「いやいや、周りの応援してくれる方々がよくて、勉強させていただきました」


小2から自分を知っていた今野さん

今野「野球の方は、プロに行くような力はなかったんですか?」

太田「そうですね。当時から人の世話をするのが好きで、指導者の道に進みたいと思っていました。1年生のころからマネージャーをやっていたので」

今野「大学ですか?」

太田「いや、高校です」

今野「高校1年から。じゃ、中学のころからプロはムリだなって?」

太田「なかなか厳しいと思っていました」

今野「ポジションは?」

太田「セカンドです」

今野「ふ〜ん。でも、最初はプロを目指していたんですか?」

太田「小さいころは思っていましたけど、実力がないと中学生のころから思い始めてました」

今野「それでも野球に関わっているのがすごいですね。俺、小学2年生のころ、将来の夢で『サッカーの人か野球の人になりたい』と書いて、書き直されたんです。選手にしろって」

太田「あぁ」

今野「俺は、その時点で選手はムリだろうと思って書いていたのに。だから、当時は大人の方が浅はかでしたね。……そろそろお時間ですね」

太田「はい」

今野「じゃ最後、読者に向けてひと言ありますか?」

太田「VENTUSはまだまだ認知度が低いところがあります。いま、たくさんのパートナーさん、地域の皆さま、ファン・サポーターの方々にご支援いただきながら、9月の『WEリーグ』開幕に向けて一生懸命に頑張っています。1人でも多くの方にスタジアムに足を運んでいただければと思っていますので、応援よろしくお願いします」

今野「それを噛まずにスラスラ言えるのが、本当にわからない」

太田「いや、カミカミだったと思います」

今野「いや、いまのが一番すごかったな。勉強になりました。ありがとうございました」

太田「こちらこそ、ありがとうございました」




インタビュアー:今野浩喜
構成:粕川哲男

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