【VENTUS PRESS】村上真帆 後編

真っすぐな視野を持っているからこそ、取り組める姿勢があります。“マイペース”とは、一見周りの状況を顧みずに物事を進めるイメージがありますが、彼女はその逆。サッカーの外の世界のことを知って、それを存分に吸収していく——時に貪欲に、時にのんびりと。村上選手の“マイペース”はオフザピッチを充実したものにしているようです。


Vol.31 文・写真=早草 紀子

「苦手な“伝えること”に大苦戦です」(村上真帆)

—自分のことを“究極のマイペース”と表現されますが、そう思うのはどんなところですか?
村上
 いろんなやらないといけないことをギリギリまで先延ばしにして最後にバーっと詰めてやるタイプなんです。学生のときのテスト勉強もそうでした。計画立てても結局は最後のダッシュでやりきるので、無意味なんです()

—耳が痛すぎてよく聞こえませんでした(笑)。それは自分の集中力を信じているからやれる技なのではないでしょうか?
村上
 はい、それで生きてきました()。だから結構チームメートに・・・特に葉月(源間)には、「まだやってないの?何してたの、今まで!」みたいな感じでよく怒られます。彼女はもはやせっかちの部類なんですけどね。自分でもさすがにそうだよなって思うんですけど・・・でも本気で怒らせる手前で止めてますよ?その分別はあると思ってます。

—サッカーと仕事の両立って、時間の使い方にどんな工夫をしていますか?
村上
 仕事をしてる時間が他の方よりも短いのでそもそもやれる量が少ないし、その中でダラダラしちゃうと何のためにいるの?って話じゃないですか。だからその短い中でも最大限に自分の出来ることをやってしっかり還元したいと思ってます。そのためにはやれることはどんどんやる!仕事に関してだけは、早め早めにやることを心がけてます。

—やれば出来るってことですね(笑)。
村上
 ですね()。自分だけのことじゃないと出来るのかも。いまの状況では、私が作業することで、一緒に働いている人の仕事量がちょっとでも減らせればいいなと。その細かな作業を請け負えるといいなと思ってます。それが会社にとってプラスになるようにっていうこの二つは重要視してます。

—大変でも両立できる、そのモチベーションとは?
村上
 一番は社会人ってどういうものかっていうのを学べるということです。社会人としての礼儀とかマナー、それこそ電話対応やメール作成とか、目上の方に対しての接し方とか・・・もちろんサッカー業界でも学べますが、サッカーをなくしたときの接し方はまた違うと思うので、そういうところを学べるのは貴重です。

—十文字大学では広報課での仕事も慣れてきましたか?
村上
 戦力になっているかはわかりませんが、慣れてはきました。最近イベントがあって、それを写真と文章で伝えるっていうのをやったんです。作成したものを当然添削してもらうんですけど、ちょっとした言葉の使い方だったり、言い回し、伝えたいことをどんな順番にしたら、そのイベントに行ってない人にもイメージしてもらえるか。今、すごく苦戦してます。教えてもらう度にいつも「なるほど~」って10回くらいうなずいてます。

—言葉で伝えるということは生きる上で避けられないことですし、この能力をつけておくにこしたことはないですよ。
村上
 なんか説得力ありますね()

—以前のインタビューでも思いましたが、サッカー人生を卒業したらぜひ、こちら側に来てもらいたいですね。
村上
 実はめちゃくちゃ興味あります!

—みなさんにお聞きしてるんですけど、オフが2日あったら何しますか?
村上
 ちょっと遠目の旅行に行きたいです。今は気持ち的には北海道に行きたいです。美味しいものいっぱい食べたい!キャンプのとき、すごく美味しかったんです。今度は防寒対策をしっかりして冬に行きたい。雪まつりを見たいんですよね。

—最近ハマってるものは?
村上
 ありますよ~実は、去年の5月くらいからワンチャンを飼い始めたんです。その子と遊ぶのが癒しです。やっぱワンチャン連れていけるホテルに行きたいな。トイプードルのティーカップなんです!

—可愛くない訳がない!
村上
 そうなんですよ~!!

—急に親ばか顔になりましたね(笑)。わかりました!どういうところがカワイイのか語ってもらいましょう。
村上
 顔!面食いなんで()

—清々しいほどの言い切り(笑)。
村上
 いたずら好きなくせに臆病な性格です。家の玄関に二段くらい階段があるんです。家のソファーにはピョンって飛び乗るくせに、それよりも断然低いその二段がダメで()。そこに行くとピタ!っとお座りして「もう僕は絶対ここから動かない!」って顔して動かない。おろしてあげると散歩に行こう行こう!遅いよ!っていうテンションになるんです。カワイイでしょ?

—これは・・・絶対旅行行けないくらいの溺愛ですねぇ
村上
 やっぱり一緒に行けるとこですね~

—意外な一面でした。今年は感染症対策も緩和され、いろいろイベントなど出来ることも増えてくると思うんですけど、こんなことをしてみたい!というアイデアとかありますか?
村上
 みなさん、普段サッカーは見てくださってると思うし、サッカー教室もしてるから、そういうものは引き続きやっていくとして・・・本当にサッカーから全く離れた何かをやってみてもいいですよね。それが何かと言われたら思いつかないですけど(苦笑)

—当然、それは例えばどんなこと?と聞きたくなります。ぜひ大学でリサーチしてきてもらえませんか?
村上
 そうですよね。大学職員でした()。同年代の女性にも興味を持ってもらいたいですし、これは私の宿題として、何が響くのか探してみます!


早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。

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