【聞きたい放題】アンジェロッティ「持ち味を発揮できるのはFW。どのポジションでもチームの勝利が第一」

選手やスタッフにピッチ内外に関わらず様々な質問をしていく本コーナー。今回は今季からオレンジのユニフォームに袖を通すことになった、期待の新外国籍選手・アンジェロッティに話を聞きました。

聞き手=戸塚 啓

「持ち味を発揮できるのはFW。どのポジションでもチームの勝利が第一」


ロナウドに憧れた幼少期

――今回のインタビューは、大宮アルディージャのファン・サポーターに、アンジェロッティ選手を知ってもらう機会です。まずは、サッカーを始めたきっかけからお話を進めさせてください。
「5歳の誕生日を迎えるその日に、父に地元のサッカークラブに入会させてほしいと頼みました。僕自身はそこまではっきりと記憶していなくて、そういうことだったんだよと父から聞きました。そのクラブに入る前から、家の前の道路とかで友だちとボールを蹴っていました」

――子どものころのアイドルは?
「クリスティアーノ・ロナウドです。8歳のときに彼のユニフォームがほしいと、父にお願いをして買ってもらいました。いまでも好きな選手です」

――ブラジル人選手では?
「ロナウドが好きです。ただ、彼がヨーロッパでプレーしていたときはまだ小さかったので、ユーチューブで動画を観るぐらいしかできなかったんですよね。僕が日本の中学生年代のころに、ブラジルのコリンチャンスへ戻ってきたので、試合を観に行ったことはありました」

――幼少期からポジションはFWですか?
「そうです。サッカーを始めてから、チームのコーチにFWを任せられてきました。20歳ぐらいからはサイドハーフで使われることもあって、プレーの幅を広げることができました。いまは、攻撃のポジションならどこでもできます」

――現在185cmのサイズがありますが、幼少期から大きかったのですか?
「15歳ぐらいまでは、かなり痩せていて小さかったんです。でも、そこから一気に成長しました(笑)」

――プロになるまでのプロセスは順調だったのでしょうか?
「アンダー世代の履歴を辿ると、かなりポジティブかなと思います。セレクションなどを受けずにサンパウロFCにスカウトされ、そこからポルトゲーザを経由して、レッドブル・ブラジルのユースチームに入りました。そこでプロ契約をして、オーストリアのレッドブル・ザルツブルクの練習に参加したところ、オーストリアの別のチームに加入することになりました。そこでは1シーズンプレーして、レッドブル・ブラジルに戻り、イトゥアーノにローンされたあとに、柏レイソルのオファーを受けました」

移籍決断の経緯

――柏からのオファーは、迷わず受けたのでしょうか?
「じつは同じタイミングで、Jリーグの二つのクラブからオファーがありました。両方ともJ1のクラブで、日本でより長くプレーして、より自分の力を発揮するために、提示された契約年数が長いクラブとしてレイソルを選んだのです。それにプラスして、レイソルにはブラジル人選手が多く在籍していました。日本にスムーズに慣れることのできる環境かな、と考えました」

――日本サッカーについての予備知識は?
「レッドブル・ブラジルのユース年代は、ヨーロッパや日本のチームと対戦する機会があります。僕の記憶が間違っていなければ、セレッソ大阪とヴィッセル神戸のユースチームと対戦しました。そういった試合を通して、日本人選手がどのようなプレーをするのかを肌で感じました。また、Jリーグの鹿島アントラーズや浦和レッズなどで、ブラジル人選手がいい印象を与えていたことも知っていました」

――柏に加入してからの日本サッカーの印象は?
「Jリーグの試合を海外で観るのは難しいので、外国人はあまり強くないととらえがちかもしれません。けれど、まったくそうではないと感じました。ものすごく強度の高いサッカーをしていますし、何よりも技術が高い。そういうサッカーが国内リーグで展開されているから、先日のカタールW杯でもああいう成績を残すことができたのでは。Jリーグのレベルは高く、それによって日本のサッカーが発展していったのだと感じます」

――レイソルに在籍した2シーズンは、カップ戦で印象的なゴールを記録したものの、J1リーグではなかなか出場機会を得られませんでした。
「カップ戦に出ることができたのは、いい経験になりました。ただ、お話されたとおりに、リーグ戦では多くのプレータイムを得られませんでした。試合に連続して出たい、できるならスタメンで出たいという気持ちはいつも持っていますが、試合に出られないなかでも勉強になったことはたくさんありました。サッカーを続けていくうえで、大事な経験をさせてもらったと思っています」

――J1からJ2へカテゴリーを下げでも、試合に出たいという気持ちが強かったのでしょうか?
「レイソルで対戦した川崎フロンターレや横浜F・マリノスのポゼッションサッカーには、率直に言って驚かされました。それはともかく、J2だからという変な考えはまったくなくて、自分ができる限りのことをして、たくさん試合に出たい、スタメンを勝ち取りたい、という気持ちです。それから、大宮アルディージャが掲げる目標にしっかりと向き合う。チームのために戦うことが大前提で、それこそは自分のエネルギーの源でもあります」

――強い意気込みが感じられますね。
「J2のチームはJ1のチームと異なるサッカーをすると思います。対戦相手がどういうサッカーをするのか、スタッフの人たちが分析していくと思いますので、それもちゃんと理解していきます。そのうえで、チームのために何ができるのかを、しっかり考えていきます」

最も得意なポジションは?

――攻撃的なポジションならどこでも対応できるとのことですが、自分の特長を一番出せるポジションは?
「サイドハーフやトップ下もやったことがありますが、持ち味を発揮できるのはFWだと思います。ただ。チームのためにプレーするのが大前提なので、自分のランニングで相手を引っ張ったり、パスを出したりすることも大事です。どのポジションでプレーすることになっても、チームの勝利を第一に考えます」

――大宮アルディージャに加入して、1カ月ほどが経ちました。クラブの印象を聞かせてください。
「ビッグクラブであるのは間違いなく、施設は素晴らしいですね。環境や雰囲気は、これまで自分がやっていたクラブとは違って、すごくいいものとしてとらえています。それを踏まえたうえで、自分たちが何をすべきかに、いかに真剣に向き合うのかが結果につながっていくと思っています」

――相馬直樹監督の印象も聞かせてください。
「自分をあたたかく迎え入れてくれました。チームが変わってそれまでと違うサッカーをやっているので、新しい発見があります。それに対して、親切にコミュニケーションを取ってくれます。細かいところのアジャストについても、説明をしてくれます。練習中の指導だけでなく、それ以外の場面でも話しかけてくれるので、ものすごくあたたかい人だと感じています」

――ブラジル人選手は一人ですが、コミュニケーションは問題ないですか?
「通訳を介してですけれど、チームにはかなり馴染んできました。ポルトガル語の単語が分かるチームメートがいて、自分も少しずつ日本語の勉強をしています。僕が日本語を使うとみんなが反応してくれて、盛り上がっています(笑)」

――チームに順応しているようですね。
「僕を温かく迎え入れてくれたチーム、スタッフ、チームメートは、かけがえのない存在だと感じています。日本は素晴らしい国で、文化も魅力的で人は優しい。Jリーグはレベルの高いサッカーをやっている。できる限り長く日本でプレーして、キャリアを伸ばしていけたらと思っています」

――ファン・サポーターにメッセージを
「ファン・サポーターのみなさん、僕たち選手はキャンプで必死に練習をして、みなさんの笑顔が見られるように努力しています。みなさんの笑顔と信頼を取り戻すために日々の練習から自分を磨いて、できる限りチームに貢献することをお約束します。練習場などで会ったら、アンジェと声をかけてください」


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