ピッチで戦う選手やスタッフの素顔や魅力を、アルディージャを“定点観測”する記者の視点でお届けする本コーナー。今回はアカデミーの定点観測も続けている土地記者が、高円宮杯U-18プレミアリーグを戦うU18の森田浩史監督に、序盤戦の戦いについて話を聞きました。
【ライターコラム「春夏秋橙」】土地 将靖
一進一退のプレミアリーグ序盤戦。シーズンの分水嶺にもなりうる4試合へ
「勝ちたかったなあ、今日は」
約3週間の中断期間に入る直前に行われた高円宮杯U-18プレミアリーグEAST第8節、横浜F・マリノスユース戦。先行を許しながらしぶとく追い上げたものの、序盤のビハインドが重く2-3と惜敗。勝てば白星先行となっただけに、森田浩史U18監督は思わず本音を吐露した。
「けっこう混戦模様のリーグなので、今日僕らが勝てば中断明けや後半戦で優勝争い、上位争いをしていけるかどうかというポイントになるような試合だと思っていた。すごく取りたかった試合だったんですけど、結果は残念でした」
開幕から4戦で1勝3敗と苦しい立ち上がり。そこからの3試合を負けなしで3勝1分3敗と五分の星まで巻き返しただけに、悔しさもひとしおだったかもしれない。
そもそも万全のシーズンスタートではなかった。主力と目された選手に離脱者が少なくなかった。そして何より、指揮官自身が初めて臨むプレミアリーグ、そして初めて指導に当たる年代である。
「ケガにつながらないように、負荷のコントロールには気を遣っている。小中学生のカテゴリーと比べると試合内容も対戦相手もクオリティが上がるので、よりきめ細やかな指導をしていかなくてはいけない」
自身も新たなカテゴリーに挑んでいる森田監督。当然、すべてがうまくいくわけではない。
「手探りというか、僕もやりながら学んでいっているような感じ。とにかくいまできることを精一杯やって、できることを増やしていくことと、できることの質を上げていく。それは選手もそうですけど僕自身もそう。何とか彼らの力を引き出してあげる、そういうマネージメントが毎週、常にできればいいと思ってはいますが、難しいです」
頭を悩ます日々が続いている。
手応えもある。以前にも挙げたように、1、2年生がレギュラーの座を良い意味で侵食しつつある。「特に1年生に関しては、(U18チームに)昇格した直後の早いタイミングで試合に絡めている選手もいて、ポジティブに捉えている」と評価。一方で、2年生に関しては「彼らはもっとできると思っているし、むしろもっとやってほしい。試合に出られていることだけで決して満足してほしくない」と手厳しい。だが、それはすなわち、期待の裏返しでもある。
そして、そうした個の成長をどのようにチーム力へ昇華させていくか。森田監督自身も「負けた試合でも、勝っておかしくない試合もあった」と振り返るように、敗戦はすべて1点差。内容面でも、勝てなかった5試合すべてに勝機はあった。8試合中5試合で先制を許すなど、立ち上がりのまずさも目立つ。試合のマネージメント力は、今後の伸びしろとして期待したい部分だ。
6月19日からの4試合を消化すると、すでに出場権を獲得している日本クラブユース選手権が始まるため、プレミアリーグは再び中断期間に入る。
「シーズン前、選手たちと立てた目標は優勝。この4試合でどれだけ勝点を積み上げられるかで、後半戦で優勝を狙えるか、それとも残留争いに巻き込まれるかが決まってくる」
もちろん同じ勝点3ではあるが、今後への試金石として重みのある、シーズンの分水嶺にもなりうる4試合だ。森田監督と選手たちのチャレンジは、まだまだ続いていく。