今野浩喜の「タダのファン目線記」ホームタウン


突撃インタビューシリーズ 今野浩喜 vs ホームタウン担当

今野さんがタダのファン目線でクラブスタッフに逆取材を敢行! 今回の取材したのは、ホームタウン推進担当の板谷さん。アルディージャとレッズのエリア問題にも切り込んでいます。

さいたま新都心駅の覇権を取り戻せ

今野「よろしくお願いします。今野と言います」

板谷「こちらこそ、よろしくお願いします」

今野「今までの対談では名乗ってなかったんですけど、そもそも俺のことを『何だ、こいつは』と思われてないかと(笑)」

板谷「この間も、ドラマ『ストロベリーナイト・サーガ』を見ましたよ。中央区役所でロケをやってましたよね」

今野「ご存知でしたか。控室にもなっていました。でも、俺が出てないシーンばっかりだったんですよね(笑)」

板谷「ああ、そうだったんですね(笑)」

今野「知っていただいてありがとうございます。さて、ホームタウン推進担当ということで、具体的にどんなことをされているんですか?」

板谷「選挙をイメージしていただけると分かりやすいと思います。例えるなら、無党派層をいかに取り込み、どうやって選挙に来てもらうか。アルディージャのコアなファンの方には、すでにスタジアムまで足を運んでいただいています。そうでない方々にもアルディージャというクラブに興味を持っていただくのが私たちの仕事です」

今野「なるほど。まだサッカーやアルディージャに興味がない人のことですね」

板谷「はい。そのために保育園や幼稚園、小学校に行ったり、地域のイベントに参加したりして、『ぜひスタジアムに来てください』とPRしています」

今野「ホームタウンというのは、さいたま市全部ですか?」

板谷「さいたま市10区のうち、北部5区を重点的に活動しています。NACK5スタジアム大宮がある大宮区、クラブハウスとトップチームの練習場がある西区、アカデミーの練習場がある見沼区、オレンジコート(フットサル場)がある北区、そして岩槻区。この5区を活動エリアとしています」

今野「中央区は?」

板谷「基本的には浦和レッズさんのエリアですね。うちもレッズさんもさいたま市がホームタウンなので、活動エリアは北と南で分かれています」

今野「よく分からないのが与野駅のあたり。アルディージャの旗が電柱に設置されているじゃないですか。そうかと思えば、以前通っていたスポーツクラブでは、レッズが勝ったときにキャンペーンをやっていた。しかも、そのあたりの飲食店ってたいていレッズのポスターが貼ってありますよね。そう考えると、板谷さんの仕事が足りてないと思うわけです(笑)」

板谷「レッズさんとうまくやっていきます(苦笑)」

今野「さいたま新都心駅を出たあたりとか、レッズ寄りの雰囲気があるけど、埼玉スタジアム2002よりもNACK5スタジアム大宮の方が圧倒的に近いですよね」

板谷「あそこは入り組んでいて……。一見、中央区のように見えるんですけど、実は大宮区だったり……」

今野「もうちょっと働いてほしいですね(笑)」

板谷「ぜひ今野さんにも後押ししていただいて……(汗)」


そこがアルディージャの好きなところ

今野「スクールキャラバンはどういう流れで行なっているんですか?」

板谷「年度始めに活動エリアの全保育園、幼稚園、小学校を対象に希望を募ります。返事が来たところは日程を調整し、塚本泰史クラブアンバサダーや地域プロデュース部のコーチを派遣してサッカー教室を行うという流れですね」

今野「子どもたちは、一瞬でアルディージャのファンになりますよね」

板谷「インパクトは大きいですね。サッカー教室のとき、コーチが子どもたちに聞くんです。『アルディージャを知っている人?』って。するとたくさんの子どもが手を挙げてくれる。それなのに、『スタジアムに来たことがある人?』と聞くとなかなか手が挙がりません。そこで、『今度は来てね』というふうに声がけをするんですけどね」

今野「プロのコーチとふれあったら、絶対に見に行きたいと思うでしょう」

板谷「特にアルディージャのサポーターは、ご家族で応援にいらっしゃる人が多いですからね」

今野「そこがアルディージャの好きなところです。他のクラブとの大きな違いですよ」

板谷「はい。サポーターのファミリー色は強いと思います」

今野「NACK5スタジアム大宮にお客さんがたくさん入っていて、自分たちの努力が実ったという実感を得られることはあるんですか?」

板谷「おっしゃるように、お客さんが多い日と少ない日があって、その差は何だろうって考えることもあります。実感としては、スクールキャラバンや地域のイベントで関わった子どもたちがたくさん来てくれている試合は、スタンドも埋まっていてスタジアムが盛り上がっている印象があります。そういった子たちとスタジアムで再会するのもうれしい瞬間ですね」

40過ぎて自分史上最速に

今野「この仕事をやっていて、どういうときにテンションが上がりますか?」

板谷「街中を歩いているときに、アルディージャのタオルやグッズを身につけてくださっている人をたくさん見かけます。『あ、この間のイベントで配ったやつだ』と思うと、地味にテンションが上がりますね(笑)」

今野「それなのに、試合に負けたときは矢面に立つこともあるんですよね」

板谷「ええ……」

今野「どういうことを言われるんですか? だって、板谷さんのせいで負けたわけじゃないでしょう」

板谷「おっしゃるとおりで……。ホームゲームが終わった後に、大宮駅の近くの飲食店を回りながら『今日の試合はこうでした』『また来週も試合があるのでよろしくお願いします』など、報告を兼ねて挨拶まわりをしていたときには、居合わせたサポーターの方から、『あのプレーはこうだった』とか『どう思う?』って聞かれることもありました。『ちゃんと選手に言っといてよ』って(笑)。だけど、『次は頑張ります』としか言いようがなかったり……」

今野「確かに。でも、勝ったときは歓迎されるんでしょう?」

板谷「はい。勝てば握手を求められるし、『次も頑張ろうね』って励まされます。そういうときはうれしいです。基本的に皆さん、優しいですよ」

今野「そういう意味では、勝敗の影響をもろに受ける仕事ですね。ホームゲームのときは毎回、スタジアムに行くんですか?」

板谷「はい。私は主に2ゲートの外にある『アルディふわふわ』という子ども向けのアトラクションや、1ゲートの前のエアアーチなどを設営したりしています」

今野「そこにいけば板谷さんに会えるわけですね。サポーターから何て呼んでほしいですか?」

板谷「普段は下の名前で『玄(げん)さん』とか『玄ちゃん』と呼ばれますけどね。でも、なかなかとっつきにくい顔をしているので(笑)」

今野「そうかな。とっつきやすいけどな(笑)」

板谷「人に頭を下げるのが仕事ですから」

今野「立派だと思います。俺、絶対にできないから。今、おいくつですか?」

板谷「もうすぐ44歳です」

今野「俺が今年で41歳だから、あまり変わらないですね」

板谷「世の中的には中堅ですね」

今野「そうですよ。気づいたら40歳を過ぎていて、こんなにも自分が変わらないとは思わなかった(笑)」

板谷「だって20代のときとか、30歳になったらおっさんだと思ってましたからね」

今野「そうそう(笑)。でも、俺はむしろ足は速くなっていると思っているんですよ」

板谷「えっ、そうなんですか?」

今野「中学生のとき、卓球部だったんです。だから卓球の体力はあった。だけど、体を気にするようになった最近の方が、あのころよりも運動しているんですよね」

板谷「そうなんですね。私は運動してないなあ。すみません、他愛もない話ばかりで」

今野「いえいえ、他愛もない話がしたかったんです。ありがとうございました(笑)」


インタビュアー:今野浩喜
構成:岩本勝暁

FOLLOW US