番記者座談会 後編【聞きたい放題】

シーズン終了後の11月某日、クラブOBの渡邉大剛さん、MCタツさん、エルゴラッソの須賀大輔記者による番記者座談会を開催! 後編では来季の戦いについて妄想を交えながらざっくばらんに語り合っていただきました。
※3名の意見は、クラブの公式見解ではありません。

強化予算はどれくらいある?

須賀:前編では相馬監督になってからの戦いぶりと残留争いを中心に話してもらいましたが、後編では来季に向けた展望と補強ポイントについて議論できればと思います。

タツ:まず何よりもどのくらい予算があるかですよね。既存選手を残すにも、新しい選手を獲得するにも、予算がないと何ともいえないですからね。

須賀:原さん(原博実フットボール本部長)のお話を聞いていると、J1で戦っていたピーク時に比べればかなりの減額だけど、J2の規模で見れば、まったく予算がないという訳でもなさそうですねよね。

タツ:シーズン中に予算削減を明確に宣言したのはすごく良いことだと思っています。本当はシーズン前に言うべきだったとは思いますが……。僕はシーズン中に開かれた記者会見でも質問したんですが、減額した分の金額回収をどのように回収していくのかもっと明確にしてほしいなと。全額を埋めようとするのは現実的じゃないけど、選手を売却するとか、新しいスポンサーを取ってくるとか、予算を積み上げるプランを共有してほしいと思っています。いまやっていることを、もっと表に発信してほしい。何度も言っていますが、「こういうことができれば予算が増えるので誰か協力してください。誰か助けてください」と言ってしまうことが、一番効果があると思う。「大宮アルディージャはこんなに困っているんだ」と認識してくれる人を増やしていかないといけない。そういう“弱み”の部分も発信してほしい。なかなかやりづらいことではあると思うけど、「助けて」と言っていない人は誰も助けてくれない。選手の補強よりも、まずはそこの発信からかなと思っています。やせ我慢はもうやめましょうよ。

 

求む、外国籍選手の獲得

須賀:一定の予算を確保できると仮定した上で、補強ポイントはどこになると感じていますか?

大剛:やはり今季の戦いぶりを見ても、外国籍選手は必要だなと思いましたね。単独で打開してくれるような選手がいるか、いないかでは大きく違う。移籍金や年俸の高い外国籍選手は獲れないと分かっているから、いまある予算のなかで獲れる外国籍選手をしっかりと獲ってくる。以前いたマテウス(現・名古屋グランパス)だって20歳くらいのときに大宮に来たと思うけど、あそこまで成長した。今後は、粗削りな選手を育てて売るようなスタイルを採ってもいいと思います。

タツ:夏に袴田裕太郎選手と岡庭愁人選手と、チームの足りない部分にびたっとハマる選手を強化部が獲ってきてくれた。そういう選手が取れるのも原さんの人脈があってこそだし、どういう選手がハマるかを見極められる目を持っているのが原さんだと思う。強化部が予算を使えるようにするためにも、フロントを中心にクラブ全体でしっかりと資金を作ることが大事だと思いますね。

須賀:2年連続でシーズン中に監督交代が行われた事実を考えると、相馬監督以外にもS級ライセンス保持者は必要だと思います。

タツ:相馬さんほど監督経験が豊富な人ならば、そういう人材を置いておくのはマストではないと思います。監督経験の少ない人の周りには監督経験がある人を入れたほうがよかったと思うけど、霜田さんと相馬さんでは監督経験に差があると思っていて、相馬さんは長く監督をやっているし、原さんもいる。やっぱり、監督の苦労は監督をやった経験のある人だけが分かるから、まだ経験の浅い人の場合は理解者が必要だけど、そこは絶対にという訳ではない。ただ、コーチ陣は入れ替えてもいいかなとは思っています。それは一つの刺激になる。長く積み上げてもよい部分もあるけど、プロは結果を求められる訳で、ここ数シーズンの結果を見てもずっと同じコーチ陣で行くべきだとは推せないですよね。


左SB問題はどう解決する?

須賀:今オフ、選手は大幅な入れ替えが予想されますが、ここだけは残して欲しいというポジションはありますか?

大剛:昨季から今季にかけてもだいぶ入れ替わりましたけどね()。それはさておき、最後、相馬体制で主力だった選手たちはベースになる訳で少なくても半分以上は残さないといけないと思います。そこが入れ替わってしまうと、結局はゼロと同じというか、開幕前にキャンプがあるとはいえ、チームを作り直すのはとても大変な作業。前年のアドバンテージがあればチーム作りはスムーズにいくと思うので、主力の残留は大事な部分だと思います。

タツ:いま大剛さんが話されたように、最終ラインの4人とGKの志村滉選手は残したい。まずは守備陣が残ってくれないときついですね。

須賀:主力の引き留めは最優先事項ですね。あとは、昨季から度々論争に挙がる“小野雅史のポジション問題”。霜田スタイルなら小野選手が左SBをやるメリットはあったと思いますが、正直、相馬スタイルではそのメリットはないと思います。実際、相馬監督になってからは試合終盤に中盤でプレーする時間があったり、練習中に中盤に入ったりすることもあったので、左SBは補強が必要なポジションだと思いますね。

大剛:それは間違いないですね。ただ、左SBは希少なポジションだし、なかなか人材がいない……。よい選手ほど年俸は高いだろうし、上のクラブや条件のよいクラブに行っちゃいますよね。

タツ:日本で一番手薄なポジションと言ってもいいですからね。それこそ、外国籍選手もありだと思います。

須賀:最終節にV・ファーレン長崎と対戦しましたけど、改めて加藤聖選手はすごくよい選手だなと思いました。でも、同じJ2には来ないですよね……

タツ:年代別代表選手だし、J1に行っちゃうと思います(苦笑)。代表レベルの選手が来てくれればありがたいけど、左SBは絶対に補強が必要。二人くらい獲ってもいいですね。


前線とサイドに必要な個の力

須賀:先ほど、外国籍選手の話が出ましたけど、やはりポジションはFWですかね?

大剛:正直に言えば、あくまでも現時点での話ですけど、チームのポテンシャルのMAX値は出ていたと思う。だから、セットプレーやいまのスタイルのなかで攻守において精度を上げていき、強化していくしかないと思う。守備のベースはある程度整って大崩れする心配はないと思うけど、攻撃は選手たちの能力が大事になるから、そういう意味でも外国籍選手を獲るなら前線かサイドかな。サイドなら一人でゴリゴリ行けて得点能力もそこそこ高い選手がいれば変わってくるかなと思います。

タツ:相馬さんのサッカーに適したFWのスタイルは終盤戦の戦いで見えました。富山貴光選手と中野誠也選手はスタイルも似ている。裏にしっかりと走って、セカンドボールに対しても頑張ってプレスに行けるし、動き出しも速くて裏も取れる。そのスタイルにハマるスケールの大きい選手を一人入れて、ポジション争いを活性化させてほしいですね。

須賀:相馬さんのスタイルなら、なおさら攻撃は個の能力がモノを言う?

大剛:それはすごく思います。どのチームも守備はある程度整備されてきているなかで、どうやって違いを出すかと言ったら個の力になる。今季、J2を優勝した新潟は後ろからとことんつないで丁寧にはがしていくスタイルだったと思うけど、結局、前線には点を取れる選手がいて、トップ下はスルーパスを出せる選手が入って、サイドはドリブラー。個人の能力が高くないと、いくら後ろでつないでも成立しないと思います。

タツ:僕も同じような考えで、今季、相馬さんのやってきたことを継続した上で、クオリティーのある選手を連れて来る。例えば、サイドにゴリゴリのドリブラーを連れて来てほしい。いまの相馬さんのスタイルならハマると思います。

大剛:サイドハーフに外国籍選手を連れてきたとしても、日本人とまったく同じタスクを求める必要はないと思う。チームのベースのなかで78割のタスクをこなしてもらいつつ、周りがその選手の個を生かすためにカバーできるかどうか。そこのバランスはすごく大事だけど、そういうやり方もあるとは思っています。

タツ:クオリティーの部分で一つ言いたいのは、J1から選手を連れてきてほしい。若い選手をレンタルするとか、J1だと少しずつ出番が減ってきてしまっているベテラン選手とか。今季の横浜FCがそうでした。長谷川竜也選手や和田拓也選手がハマっていたし、小川航基選手はすごかった。もちろん、J1トップクラスの選手を獲ってきてとは言わないけど、J1でもやれるレベルの選手を獲ってこないとJ1は目指せない。そこは簡単に諦めないでこだわってほしいですね。


獲得選手を勝手に妄想

須賀:では最後に、この場だけの勝手な希望と妄想で、欲しい選手を挙げますか?()

大剛:()

タツ:SBならすごくよい選手がいましたよ。アビスパ福岡からレノファ山口FCに育成型期限付移籍していた桑原海人選手。まだ22歳で今季は右肩上がりで急成長していたけど、ライバルの橋本健人選手がチームのスタイルにより合っているからあまり試合に出られなかった。それでもずっと成長し続けていたから残るかなと思っていたけど、契約満了になったからビックリした。縦への推進力があって走力が高い。まだ若いのでおすすめですよ。あとは、優勝争いや上位争いをしていたチームであまり出番に恵まれなかった選手を引っ張ってくるのはいいですよね。

大剛:鹿島アントラーズとかはいい選手がいますよね。

タツ:荒木遼太郎選手はいいですね。相馬さんは昨年、鹿島の監督をしていたわけだし、可能性はゼロではないかも。

須賀:鹿島なら松村優太選手とかも面白いですよね。あとはサンフレッチェ広島の藤井智也選手と浅野雄也選手。さらに、個人的に気になっているのはFC今治の安藤智哉選手。ちょっと前に、三門雄大選手にお会いするために今治の試合を観に行ったら、その試合でのプレーがすごく印象に残りました。高さがあって足元も安定していて、両足で蹴れる感じでした。

大剛:外国籍選手で言えば、フアンマ選手みたいなタイプはどうですかね?

タツ:そういう感じの外国籍選手がいいですよね。長崎のクリスティアーノ選手もそうかな。あのくらい一人でやっちゃうような選手が来てくれても面白いかもしれない。

須賀:原さんも「いまの大宮は似たようなタイプの選手が多い」と言っているので、そうやっていろいろな個性を持っている選手が来てくれるとチームに幅は出ますよね。もう一つ挙げるとすれば、大宮にルーツのある選手も気になります。浦和レッズの松崎快選手とか、横浜F・マリノスのオビ・パウエル・オビンナ選手とか……。来てほしい選手の妄想は尽きないですね()

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