今野さんが“タダのファン目線”でクラブスタッフ関係者らに逆取材を敢行するシリーズ企画から一転、今野さんが行きたい場所・やりたいことをただただリポートするという、迷走するコーナーとなった本連載。今回はホームスタジアムである「NACK5スタジアム大宮」を見学! 施設を管理されている大友さんと大宮アルディージャ広報の高橋さんに案内してもらいました。
特別スタジアムツアーがスタート!
大友「大宮公園サッカー場の施設長をしています、大友です」
今野「今野です」
大友「よろしくお願いします」
高橋「アルディージャ広報の高橋です。今日は大友さんと僕でスタジアムをご案内しつつ、いろいろご説明させていただきます」
今野「よろしくお願いします」
大友「じゃ、スタジアムを回っていきましょう」
高橋「今野さんは、これまでイベントとかでも何度かスタジアムに来られていますよね」
今野「でも、お客さんのいないところは初めてだな」
大友「誰もいないスタジアムは新鮮ですよね」
今野「はい」
大友「最初はビューボックスに行きましょう」
今野「ほぉ。ここは誰が使うんですか?」
高橋「パートナー企業や法人に販売したり、メンバー外の選手が観戦したりしています」
大友「眺めがいいですよね」
高橋「雨の心配も要りません」
今野「椅子が綺麗だな」
大友「ひじ掛けもあります。隣に移動しましょう。次は放送ブースです」
今野「(移動中のデッキで)ここは気持ちがいいや」
大友「テレビカメラを置くところですね」
今野「そうなんだ! カメラの場所が一番見やすいんでしょうね」
高橋「この位置からどう見えるかを確認して、広告を設置する位置を決めています」
今野「はぁぁぁ……」
高橋「試合前、ここから見ながら『何センチ右に』などと細かく調整していますね」
今野「いつのころからか、ゴール脇の看板が立体的になりましたね」
高橋「選手がぶつからないように、ですね」
今野「そのためなんだ」
大友「いまはゴール裏もLED看板になりましたね」
今野「ここは、いつ改装されたんでしたっけ?」
大友「2007年5月から『NACK5スタジアム大宮』になりました」
今野「お客さんがいない状態でスタジアムを見ると、カクカクしててカッコいいですね」
大友「椅子のオレンジが映えるんですよね。背もたれもあるので」
今野「あぁ、確かに。全部の椅子にあるんですね」
大友「こちらが、実況とか解説をするブースです」
今野「ここは来た気がするな」
大友「窓がないので、雨風が結構すごいです」
高橋「こちらは、大型ビジョンを操作したり、スタジアムDJの方がアナウンスなどを行う部屋です。公式記録員の方も使っています」
大友「次はスタンドに行きましょう。ここが記者席です。机があって、電源もあります」
今野「どこにあるんですか?」
高橋「机の下ですね」
ゴール裏最上段の傾斜を体感
大友「立見席に入られたことはありますか?」
今野「いや、ないです」
高橋「ホーム側の立見席はこの間隔ですけど、アウェイ側はもう少し間隔が広いんです」
今野「それ、なんか聞いたことあるな」
高橋「アウェイ側の迫力を出させないため。ホーム側は詰まっている感じを出すためとか」
今野「アハハハ……(笑)。でも、コロナ禍のいまは、このスパン(青いテープ)を保ってるんですね」
高橋「そうです」
今野「俺が興味あるのは、あそこ(ゴール裏の最上段)なんですよ」
大友「行ってみましょう」
今野「(階段を上りながら)足がやばいな。一段一段、結構幅がある。うわぁ、あぁ……」
高橋「ここはいいですよね」
大友「あそこにスカイツリーが見えます」
今野「あっ、本当だ」
高橋「初めて見た!」
今野「じゃ、富士山も見えますかね。ここからのサッカーって、どう見えるんだろう」
高橋「ゲームみたいな感じですよね」
今野「そうかぁ」
大友「左側の角に見えるのが、大宮公園サッカー場にあったレリーフです。二つ持ってきて、当時と同じ角に置いたようです」
高橋「あそこの上が、警察と消防の詰所になっているんです」
今野「試合のときは警察が来てるんですか?」
高橋「常駐と巡回があって、入場者数によって決まるそうです」
今野「ふ~ん。ここの席は自由席ですか?」
高橋「そうです。一番安い席です」
今野「ここで見るのは面白そうですね。だって、試合前に出るフォーメーション図と同じ画が見えるわけですよね」
大友「そうですね。ここの傾斜は、かなり強いですね」
今野「強いですよ。登るのも降りるのも少し恐い。うわっ、もう足がやばいな。腿の前がキテる」
大友「ゴール裏最前列とバックスタンド最前列に行ってみますか」
今野「ぜひ! ゴールはどのへんかな?」
大友「その緑と白の境目あたりですね。だから、試合前のシュート練習は危ないです」
今野「サポーターに当たることもありますもんね」
高橋「かなり近いですからね」
今野「ここで見るのは首が疲れそう。本当は引いて全体を見たいけど、それならテレビでいいだろうってなるので……」
一同「アハハハ……」
今野「スタジアムではこういう近いところがいいんでしょうね」
高橋「選手が止まり切れず、スタンドに飛び込んだこともありましたね」
今野「カントナも、これぐらいの距離からキックしたのか……」
高橋「ここなら余裕ですね(笑)」
今野「ファンに蹴りって、やっぱりすごいよな(笑)」
高橋「このスタジアムの照明の形は、大宮の『Oの字』をイメージしているそうです」
今野「……言われないと気づかないな(笑)」
高橋「今年からLEDになったので、押したらパッと点くようになりました」
大友「ナイターの試合前に、消したり点けたりという演出もしています」
今野「あれはいいですよね」
大友「照明は、文字の演出もできるんです」
今野「え!? どこに文字が出るんですか?」
大友「4灯全部にGOALとかVAMOSとかCHAMPIONとか」
今野「へ~」
大友「来年は、CHAMPIONの文字を流せると思います」
高橋「裏を回ってロッカーの方に行きましょうか」
今野「これは何ですか?」
高橋「2007年ごろ、スタジアムを改修する際のイベントとして行った、ネーム入りのレリーフです。僕のもあるんですよ。あっ、ありました。959番」
今野「最後はアルディ&ミーヤなんだ」
大友「そして、ここが見どころの一つです。12本の梁に有名なサッカー選手の名言や、『Live in Omiya,Live with Omiya.(大宮に住み、大宮と共に生きる)』といったメッセージなどが書かれています」
今野「綺麗なオレンジだな。名言で言うと、桜井(直人)選手の『浦和の中心を堂々と歩いて欲しい』が僕は好きでしたね」
サッカーの神様のサインを発見?
今野「全然道が覚えられないや。覚えました?」
大友「1年かかりました(笑)」
高橋「2002年の日韓ワールドカップのときにブラジル代表がこのスタジアムで練習をしたのですが、この部屋には当時サインをした壁がそのまま残されています」
今野「あれ? これは(ペレ風のサインを発見!)…。ペレは来てないでしょ(笑)」
大友「ですよね」
今野「いろんな選手がいるな。カカ、ロナウジーニョ、ロベカルもいる。ロナウドはいないかな」
高橋「ここにあるバンペッタは当時大宮に所属していたトニーニョの友だちで、メッセージを残してくれたそうです」
今野「懐かしいですね」
高橋「トニーニョって文字が書いてあります」
今野「本当だ」
高橋「スコラーリ監督もいますね」
今野「磐田の監督してた人だ。この壁はどうなってるんだ?」
大友「消えないように、特殊な塗装をしています」
今野「建て替えのときはどうするんですか? バンクシーの画を切り取ったときみたいに、壁ごといくのかな(笑)」
高橋「次はロッカールームです。試合のときは、ここにオレンジの絨毯が敷いてあったり、壁一面にも装飾がされています」
今野「誰が敷くんですか?」
高橋「クラブスタッフや協力会社の方ですね。僕たちのスタジアムじゃないので、毎回片付けています」
今野「そういうのがあることで、選手たちの気持ちも変わるのかな」
高橋「ホーム感が増してモチベーションが上がるんじゃないかと」
今野「ほぉ。ここがロッカーか。ロッカールームは入っちゃいけない感じがありますよね。人の家に来ちゃったみたいな」
高橋「だいたい番号順で座ることが多いかなと思います。今野さんが使うとしたら、どこに座りますか?」
今野「う~ん、(一番端)ここだと思う。だいたいそう。早く帰りたいっていうね」
大友「座り心地は?」
今野「……普通ですね。選手は本当にここに座るもんですか」
高橋「そうですね。監督が話しているときは、座って聞いていたり」
今野「ふ~ん」
高橋「隣には、お風呂、シャワー、トイレがあります。その向こうの部屋はスタッフ用です」
今野「このまま入っていいんですか」
高橋「奥の部屋は試合のときは、監督やコーチが使っています」
今野「こっちの部屋はちょっと寂しい雰囲気ですね」
高橋「スタジアム入りがキックオフ1時間半前で、到着してからも室内練習場やピッチでアップをしたりするので、部屋にいる時間はそこまで長くないんです」
今野「いやぁ、ロッカールームは初めて入ったなぁ」
後編へ続く
構成:粕川 哲男