【ライターコラム「春夏秋橙」】新シーズン、始まりの合図。6年目の正直に挑む

ピッチで戦う選手やスタッフの素顔や魅力を、アルディージャを“定点観測”する記者の視点でお届けする本コーナー。今回は、新体制発表記者会見を取材した戸塚啓記者に、その所感を書いてもらいました。

【ライターコラム「春夏秋橙」】戸塚 啓
新シーズン、始まりの合図。6年目の正直に挑む


歯がゆさを受け入れる

19日に新体制発表記者会見が行なわれた。個人的にはこの日が、新しい年の始まりという感覚である。

J2で戦うのは6シーズン目となる。18年は5位、19年は3位でJ1参入プレーオフに進出したが、20年は15位に終わり、21年はJ2残留争いに巻き込まれて16位に終わった。

昨シーズンもスタートからつまずき、2年連続でシーズン途中に監督を交代した。J2残留が目標となってしまい、19位で全日程を終えた。

J1で戦ってきたアルディージャを知る人間としては、下位に沈み続けている現状がいまだに受け入れがたい。歯がゆい。悔しい。正直に明かせば、情けないと思ったこともある。

ただ、1シーズンでも2シーズンでもなく、3シーズン連続で下位に沈んだのだから、これはもう偶然でも不運でもない。リーグ内での相対的な立場、客観的な評価として、受け入れるべきなのだろう。


チャレンジャーとしてのスタンス

新体制発表会見では、具体的な数字の目標は聞かれなかった。

 目標を口にすることは大切だと思う。一度だけでなく、何度も言い続けることは、もっと大事だと思う。その意味で、たとえ現実味に欠けるとしても、「J1昇格を目ざします」と高らかに宣言してほしかったなとも思う。

ただ、公言しなかったことがイコールJ1昇格を目ざさない、ということではない。相馬直樹監督は「我々はチャレンジャー」と言う。ここ数シーズンの結果を客観的に振り返れば、なるほどそのとおりである。「まずは開幕戦で勝てるように、いまできることを重ねていく」と話した。

だとすれば、J1昇格への意気込みや決意といったものを、相馬監督と選手たちはもちろん、クラブ全体が胸に秘め、胸で燃やし、長いシーズンを戦っていってほしいのだ。1試合、1試合に最大限の熱を込めることが、大きな成果を得ることにつながると信じている。

編成についてはクラブの判断を支持し、開幕を楽しみに待つのが個人的なスタンスだ。J1昇格を目ざすには物足りない、といった声も聞こえてくるが、この戦力でどこまで戦えるのかは興味深い。

人材の多いポジションとやや手薄なポジションが混在しているので、相馬監督の選手起用もポイントになるだろうか。思い切ったコンバートもあるかもしれない。

期待したいのは3年目の柴山昌也、レンタルバックの大澤朋也、期限付き移籍で加入した大森理生らだ。彼らは200211日以降生まれの選手たちだ。つまりはパリ五輪に出場できる世代である。

J2J1より試合数が多い。日本代表の試合開催に伴う中断もないので、日程が過密になることもある。伸び盛りの選手にとっては、成長できる環境と言っていい。チャレンジャーの姿勢を全面に押し出して、本気でパリ五輪を目ざしてほしいのだ。

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