今野さんが「ただのファン目線」で行きたい場所に行ったり、会いたい人に会うコーナーとなった本連載。今回は、NACK5スタジアム大宮の隣に広がる大宮公園を訪れ、管理事務所の小林利哉さんに園内を案内してもらいました。
意外な歴史が詰まった大宮公園
小林「今日はよろしくお願いします。小林です」
今野「今野です。よろしくお願いします」
小林「少し雨が降っていますが、かえって良かったんじゃないかと。晴れて人が多いと、今野さんも大変でしょう」
今野「人がいても、なんの騒ぎにもなりませんよ」
小林「そうですか(笑)。大宮公園は明治18年(1885年)にできたと言われていて、古いは古いんですよ」
今野「何年前ですか?」
小林「140年近くですね。あちらにある氷川神社の敷地を公園にいただいたので、当時は氷川公園と言ったようです」
今野「そもそも神社の敷地が、これだけ大きかったってことですか」
小林「明治時代、このあたりには料亭がたくさん建っていました」
今野「この敷地内に?」
小林「そうなんです。保養の場所だったんです」
今野「いつごろまであったんですか?」
小林「大正から昭和の頭くらいじゃないでしょうか。昔は、そこまで交通手段が発達してなかったので、長野とか新潟まで気軽に行けない。東京から電車で1時間くらいの大宮の料亭にでも……という感じだったみたいですね」
今野「すげぇ詳しいですね」
小林「いやいや(照)、解説板がありますから。夏目漱石、正岡子規、森鴎外、永井荷風なんて有名どころが来てたみたいです」
今野「そんなにですか」
小林「今では考えられないですけどね」
今野「埼玉ってだけで小馬鹿にされる時代ですからね」
小林「ねぇ」
今野「こうやってあらためて公園内を歩くと、すごくいいですね。木が多くて」
小林「ありがとうございます。歴史と自然は得意分野なんです」
今野「ふふふ」
小林「今年のお花見の時期には、2週間で7万人くらいのお客さんが来てくれました」
今野「桜がすごいですからね」
小林「全部で1000本くらいあります。コロナが流行る前は14万人くらい来ていたので、ほぼ半分ですけどね」
今野「いやぁ、散歩にちょうどいい距離感ですね」
小林「そうなんです。一周回って1kmちょっとですかね」
レトロな乗り物が楽しめる児童遊園地
小林「ここが児童遊園地です」
今野「今日は……あっ、定休日か」
小林「週末と、お花見の時期にやっています。『レトロだレトロだ』と言われています」
今野「いつからあるんですか?」
小林「昭和25年(1950年)らしいです」
今野「よく壊れないですね」
小林「昔の機械だから……」
今野「直しやすいんだ」
小林「そうなんです。今でも蒸気機関車が走っているのと同じように。今の新しい機械は基盤を交換しないとダメ、とかなるそうです」
今野「この乗り物はよくわからないですね。飛行機の先にドリルって」
小林「サンダーバードとかの影響なんですかね……」
今野「翼があるわけじゃないし、なんなんだろう」
小林「子供たちが乗る箱は最近になって交換しているので、昭和25年というのは本体、あの吊り下げている支柱とかですね」
今野「なるほど。すごいな。ちゃんと見ると、なんだかわからない(笑)」
小林「シャッターを開けると、この中にも子供たちが乗る遊具があります」
今野「この乗り物は、どういう動きをするんだろう?」
小林「少し持ち上がって、クルクル回る感じです。花やしきとか、そういった遊園地に、同じような乗り物があったんじゃないかな」
今野「そうでしょうね」
小林「じゃ、小動物園に行ってみましょうか」
今野「はい」
きっかけは北海道からもらった小熊
小林「小動物園です」
今野「何回か来たことありますけど、ハイエナがいますよね?」
小林「入ったことあるんですか?」
今野「はい、何回か。小動物園って名前からしてハイエナがいる感じがしない。それで、ここは無料ですよね?」
小林「そうです」
今野「県民の日とか関係なく、ずっとタダ!」
小林「ハイエナと熊という猛獣がいます。昭和24年ごろ、県知事が北海道に出張に行って子熊をもらったのがきっかけで、そこから動物園の建設につながったようです」
今野「熊をもらってきた……(笑)」
小林「動物園の開園は昭和28年です」
今野「それまで、子熊はどこに?」
小林「檻に入れて飼ってたのかな」
今野「コワッ!」
小林「実際、子熊が送られてきたのは、視察に行ってしばらく経ってからだと思います」
今野「へ~」
小林「最初は『とりたちのらくえん』から行きますか。なんか、目の前に(鳥が)いるんですけど……」
今野「逃げたことないのかな?」
小林「あるんじゃないかな」
今野「あははは。二重扉にしたところで……。シラコバトって普通にいるんですかね」
小林「少数生育しているんですけど、小振りだから喧嘩負けしちゃうんですかね」
今野「これが埼玉県の県鳥、シラコバトか。コバトンっていうのは、だいぶ紫ですね」
小林「着色してるんでしょうね。実際は白いんです」
今野「これはハシビロコウ? 違うな。ギンガオサイチョウか。くちばしが木みたい」
小林「そうですね」
(ポーポーポーポー)
今野「ハトの声がすんごい。シラコバトは小さくて可愛いですね。頭が白くて、ツルっとしてる。あれは何かな。サギかな?」
小林「サギもいます。ここの鳥は、どういう感覚なんですかね。檻の中にいるって意識はあるのかな?」
今野「シラコバトが多いな」
(ホーホー、ポーポー、ポーポー)
小林「はい。いっぱいいます。この中にいてカラスに襲われないから繁殖できるんでしょうね。そうじゃないと、なかなか」
今野「限界まで近づいてみよう。(パタパタと飛び立つハト)やっぱり逃げるか」
小林「ここのハトは、結構人懐っこくて、近づいてくるんですよ。『今日何しに来たの』という感じで」
今野「この中の木の管理も大変そうだな」
小林「おっしゃる通り、ネットを突き破って伸びていくので。剪定を入れるんですけど、クレーン車を入れられないので、切るのが大変みたいです」
今野「動物園で、初めて鳥をちゃんと見た。これまでは鳥のエリアなければいいのにって思ってたけど、面白いですね」
小林「はい。これが熊さん用のドングリポスト。子供たちが持ってきてくれるんです」
今野「熊って、ちゃんとドングリ食べるんだ」
小林「今日は(熊が)いないみたいですね。中で寝てるのかな」
今野「出た! ハイエナ。怖い。でも、人に寄ってくるんですね」
小林「わりと人懐っこいんですよ」
今野「地味に金魚がいますね」
小林「ボウフラ除けかもしれませんね」
今野「絶対そうだ!」
小林「カピバラですね。あそこに、冬場にお湯を沸かすやつを寄付してくれて」
今野「お風呂に入るところ見たいんだな」
小林「そうなんですね」
今野「ヌートリアと見た目が同じなんだけど、圧倒的にカピバラが人気だよな」
小林「人気ナンバーワンですね」
今野「おっ、フクロウ。夜行性じゃないのかな?」
小林「この裏の森になっているところには、ミミズクが住んでいます」
今野「へ~」
小林「夜、ホーホー鳴いていますね。ここから先がサルのエリアです」
今野「(パシン!)あぁ、蚊に食われた」
小林「あららら、虫よけ持ってくればよかった」
今野「全然大丈夫です。サルがいっぱいいますね」
小林「サルはニホンザル、シシオザルなど5種類ほどいます」
今野「へ~」
小林「小動物園は、だいたいこんな感じですね」
今野「いやぁ、楽しめました。無料っていうのが、不思議でしょうがない」
小林「年間20万人くらい、お客さんがみえます。あそこに赤外線探知機があって正確にカウントしています。次は池の方に行ってみましょう」
今野「ここでラジオ体操やってるんですね」
小林「はい。毎朝やってます」
今野「え!? 夏休みだけじゃなく?」
小林「そうなんです。全部で50人近くいるんじゃないかな。みなさん携帯を見ながら、園内全体でやっています」
今野「この桜は、公園になってから植えられたんですかね?」
小林「それもありますし、明治の時代にもあったと思います」
今野「桜の寿命はそこそこ短いですからね」
小林「そうですね」
今野「植え替えているんだ」
小林「桜守の方が見てくださっています」
今野「こんなところに競輪場がある!」
小林「そうなんです。双輪場って言ってますけどね」
今野「こっちの池は大きいですね。この水はどこから?」
小林「溜水なんです。あとは向こうに井戸を掘って、少量ですけど供給しています」
今野「だから、流れはとくにないんだ」
小林「うんとわずかですね」
今野「ボートとかはやらないんですか?」
小林「まさに計画中で……」
今野「こんなに店があると思わなかったな」
小林「大宮公園には売店がいっぱいあります。そばとか煮込みとか、ラーメンとかおでんとか。カフェはないですけどね(笑)」
今野「十分ですよ」
小林「天気のいい日には、一日ボーッとしている方もいますね」
今野「公園の正しい使い方です」
小林「じゃ、事務所に戻って、もう少しお話しましょうか」
今野「はい」
後編へ続く
構成:粕川 哲男