【ライターコラム「春夏秋橙」】プレミアリーグ“ラスト3”
プレミアの舞台に踏みとどまれるか

ピッチで戦う選手やスタッフの素顔や魅力を、アルディージャを“定点観測”する記者の視点でお届けする本コーナー。今回は、アカデミーの定点観測を続けている土地記者に、今週末から再開する高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2023のラスト3試合について、注目のポイントを書いてもらいました。

【ライターコラム「春夏秋橙」】土地 将靖
プレミアリーグ“ラスト3”
プレミアの舞台に踏みとどまれるか


全国高校サッカー選手権の都道府県予選により、シーズン最終盤の3節を残して中断していた、高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2023が再開する。上位ではプレミアリーグファイナルへの出場権を懸けて、そして、下位ではプレミアリーグ残留への熾烈な争いが再び始まる。

プレミアリーグEAST11位と、プリンスリーグ関東への降格圏に沈む大宮アルディージャU18。後半戦となる第12節以降、62分と未勝利の苦境が続いている。8試合で3得点15失点と攻守両面に課題を抱え、森田浩史監督も「2点以上奪った試合がまだないことと、失点ゼロで終わった試合がないということ。多くても勝点1しか取れないという状況がずっと起こってしまっている」と頭を悩ませる。

試合内容が一様に芳しくない、というわけでもない。中断前の残留への直接対決、第17節の横浜F・マリノスユース戦はシュート数で122と相手を圧倒した。ただ、多くの決定機を生み出しながら、オウンゴールでの失点に追いつくのが精一杯だった。第19FC東京U-18戦は、試合序盤にペナルティキックで許した失点が最後まで重くのしかかり、やはりシュート数で相手を上回りながら敗れた。攻撃を牽引する種田陽は「一番は、決定機がある中で決められないということ」、守備では真壁拓海が「セットプレー、それも一発で合わせられてしまうというよりは、事故的な失点が多い」と指摘するような、その通りの結果になってしまっている。


守備のキーマンである5番・真壁拓海

すでに降格圏の11位に落ち込んでしまっているところへ、残留圏である10位の横浜FMユースや9位のFC東京U-18との直接対決は終えてしまっているため、もう自力での残留はないのが現実。だが、勝ち星を積み重ねることで上位チームに何かが起こらないとも限らない。ラスト3試合、まずは全勝が必須となる。 

SBの斉藤秀輝が復帰したことは、少なくないプラス材料だ。周囲との連係だけでなく独力でも突破できる推進力は、特に攻撃面で大きなパワーとなる。中断直前のFC東京U-18戦で後半戦の初出場を果たしており、残り試合ではフル稼働を期待したい。


ケガから戻ってきた2年生SBの斉藤秀輝

そして、市原吏音が戻ってくる。再開初戦となる第20節・流通経済大学付属柏戦(会場:秋葉の森総合公園サッカー場)はU-18日本代表での海外遠征のため出場できないが、おそらくその後の2試合は出場することになるはずだ。

トップチームでシーズンの半分近くを過ごし、修羅場で揉まれてきた。その成長ぶりは、試合を見ているだけでも良くわかる。セットプレーを含めた攻守両面での貢献はもとより、精神的支柱がピッチに君臨する存在感、安心感が与えるチームへの影響は計り知れない。トップチームでは果たせなかった使命を、今度はU18で果たしてほしい。


ラスト3試合を前に、種田は「3年生の責任として残留させないといけないですし、後輩にもプレミアのピッチに立ってほしい。自分たちが先輩たちから受け継いできたものなので、やっぱりそこはつなげていきたい」と思いを語った。そうした思いを、どれだけの選手が、どれだけの熱量でプレーできるか。最後は、気持ちの大小が行く末を左右することになる。


攻撃を牽引する10番の種田陽

最終戦となる第22節は、NACK5スタジアム大宮での昌平戦。埼玉ダービーには、少なくないサポーターの方々が駆けつけてくれることだろう。スタジアムを喜びと安堵の場に――選手たちの奮起に期待したい。


■大宮アルディージャU18 今後の日程
20vs 流通経済大学付属柏高校
11月19() 13:00キックオフ@秋葉の森総合公園サッカー場

21節 vs 前橋育英高校
1126() 11:00キックオフ@前橋育英高校高崎グラウンド(人工芝) 

22vs 昌平高校
12月3() 13:00キックオフ@NACK5スタジアム大宮

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