【ライターコラム「春夏秋橙」】頂点まであと3つ。大宮アルディージャU15が全国大会で躍動

ピッチで戦う選手やスタッフの素顔や魅力を、アルディージャを“定点観測”する記者の視点でお届けする本コーナー。今回は、アカデミーの定点観測を続けている土地記者に、高円宮杯JFA全日本U-15サッカー選手権大会に参戦している大宮アルディージャU15の戦いをレポートしてもらった。

【ライターコラム「春夏秋橙」】土地 将靖
頂点まであと3つ。大宮アルディージャU15が全国大会で躍動


1216日、中学生年代の日本一を決める高円宮杯JFA全日本U-15サッカー選手権大会が開幕した。関東リーグ1部を優勝し、関東第1代表として出場権を獲得した大宮アルディージャU15は、初タイトルを目指し大会に臨んだ。 

1216()に行なわれた1回戦の相手は、九州第4代表のロアッソ熊本ジュニアユース。だが、大宮U15の選手たちは目の前の対戦相手とは別の敵とも戦わなければならなかった。丹野友輔監督以下、選手も皆一様に「動きが硬かった」と試合後に話した。関東リーグ終了から2カ月以上トップレベルの公式戦がなかったこと、負けたら終わりのノックアウト方式に臨む大会初戦、そうした難しさがあったのは紛れもない事実だった。

それでも24分、好機をつかむ。中盤で神田泰斗が相手選手からボールを奪うと、中島大翔へつなぐ。中島から久良木慶斗へスルーパスが通ると、そのまま相手ゴールに蹴り込んだ。実にいい形で先制に成功した。


先制ゴールを決めた久良木(左から2人目)

しかし、この後が続かなかった。1点リードで折り返した49分、ドリブルで一気に持ち込まれ、クロスからのワンタッチゴールで追いつかれてしまった。選手たちの胸には、この夏、同様に先制しながら逆転負けを喫した日本クラブユース選手権(U-15)関東予選3回戦の苦い思いがよみがえった。

「自分たちが1点取って、逆にアグレッシブさがなくなってしまって、それでちょっと相手ペースになったって感じですね。夏と同じことはさせないぞ、と自分は周りに話しました」(神田)

その後も、不用意なボールロストからカウンターを浴びてヒヤリとさせられる場面もあったが、しっかりと耐えた。そして訪れた63分のチャンスだった。神田のCKははじかれたが、そのこぼれ球を中央で受けた中島が思い切って振り抜く。「普段ああいうシュートは打たない」と自身で振り返ったシュートは、クロスバーギリギリのコースに突き刺さった。


熊本JYを突き放す2点目を決めた中島

試合終了間際には、再び1点を返そうとする相手の心を折る髙橋祐輔のダメ押しゴールも生まれ、大宮U153-1で熊本JYを下し、2回戦へ駒を進めた。


ダメ押しゴールを奪った髙橋

1回戦の翌日、1217()に行なわれた2回戦は、ガンバ大阪門真ジュニアユース(関西第2代表)との対戦。体力面での大きな山となる2日連戦となる中、前日とは打って変わって強風が吹きすさぶ。試合環境面でも難しいコンディションでの試合となった。

大宮U15は前半風下で劣勢も予想されたが、中澤凜と熊田佳斗のCB2人とGK岡村泰志を中心にしっかりと対応し、前半40分間で相手のシュートをわずか1本に抑えた。

「相手のやり方はほぼわかっていたので、それに対してロングボールの対応とセカンドボールの回収をしっかりやれば、自分たちのリズムに持っていける」(丹野監督)

そして後半立ち上がりの42分、得意とするセットプレーから先制に成功する。神田のCKははじかれたが、粘って押し返し、最後は中澤が押し込んだ。


先制ゴールを挙げた中澤

ここからは一気に大宮U15がペースをつかむ。50分の中島のシュートはGKに阻まれたが、53分、パスを受けた神田がドリブルで持ち込むと、利き足ではない右足を思い切り振り抜く。このシュートがネットを揺らし、決定的な追加点となった。


追加点を奪った神田

守っては、守備陣が最後まで奮闘した。

「チャレンジ&カバーを徹底して、時間が経つにつれて疎かになるようなことは絶対になくして、最後まで集中を切らさないように、というのは話してました」(中澤)

「風の状況もあって難しい状態でしたけど、よりアラートに対応して、CBとしっかり連携を取れてクリーンシートで終われたので良かったです」(岡村)


クリーンシートに貢献した岡村

80分間を無失点に抑え、ベスト8進出を果たした。

準々決勝は1223()に行なわれる。対戦相手となるサンフレッチェ広島ジュニアユース(中国第1代表)は昨年も準優勝の強豪で、厳しい戦いが予想されるが、ここを突き破れば一気に先が見えてくる。

「この子たちは全国大会を経験してないので、それで硬かったと思います。この2試合の経験を受けて、また1週間しっかりトレーニングできるので、それで成長できるのが何よりも大きいですね」(丹野監督)

まずは連戦で疲弊した体をリフレッシュする。その上で選手個々の成長を追求し、その先にタイトルが見えてくる。頂点まであと3つ――。最後まで戦い抜く。


20231223() 13:30 KICKOFF

高円宮杯JFA全日本U-15サッカー選手権大会 準々決勝

サンフレッチェ広島F.Cジュニアユース vs 大宮アルディージャU15

アースケア敷島サッカー・ラグビー場

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