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J1 第1節 F東京戦マッチレビュー

新生オレンジ軍団、敗北の中に確かな手ごたえ  待ちわびた開幕のキックオフは、3月10日の午後7時。会場は、アルディージャの聖地NACK5スタジアム大宮。照明が暗闇に鮮やかな芝生を浮かび上がらせていた。電光掲示板には新しい選手紹介の映像が映し出され、どよめきが上がる。期待感の渦巻くピッチの上、両チームの選手はセンターサークルに並び、翌日に発生から1年となる東日本大震災の犠牲者への黙祷をスタンドの観客とともに捧げた。東は「震災から1年の節目になるということは意識していた。サッカーを出来るのは幸せなことだと監督も言っていたし、僕もそう思う。サッカーを出来ることに感謝したい」と、新たなシーズンを迎えた思いを語った。黙祷を終えると、両ゴール裏から「ニッポン」コールが沸き上がった。別会場ではすでにデーゲームの結果が出ている。順位表の中に「大宮」の文字を探す毎日がまた始まった。アルディージャの先発布陣は「4-4-2」。GK北野、4バックは右から村上、菊地、キム ヨングォン、下平。中盤は青木とカルリーニョスのダブルボランチ、右に渡邉、左にチョ ヨンチョル。前線は、ラファエルとトップ下気味に動く東。新戦力が多く名を連ねた新生オレンジ軍団がいよいよ船出した。
 キックオフ直後、出足の鋭さを見せるアルディージャは、相手の最終ラインからボールを奪った東がシュートを打ったが、相手GK権田の好守に阻まれた。23分には村上の縦パスから東がセンタリング。チョ ヨンチョルが2度シュートを放ったが、またもGKに防がれた。28分に下平の鋭いアーリークロスにラファエルが長い足を伸ばして合わせた3度目の決定機は、シュートがわずかに右へそれた。大宮ペースで試合が進む中、FC東京はボランチで先発したMF梶山とトップ下の長谷川のポジションを変更。青木が「キープ力があって、攻撃の起点を作れる梶山選手が前に出てきて、相手がリズムをつかんでしまった」と認めたように、相手のマークを巧みに外す梶山のプレーにアルディージャは苦しむようになっていった。

 後半に入ると、FC東京がペースアップ。46分、48分、50分と立て続けにシュートを放つ。最終ラインを押し上げてコンパクトな組織で前線からプレッシャーをかけてくる相手に対し、アルディージャはパスの精度を奪われて押し込まれた。それでも58分に左サイドで東、チョ ヨンチョル、ラファエルとつないで4度目の決定機を作ったが、またしても相手GKがファインセーブ。そしてチャンスの後にピンチが待っていた。直後の61分、FC東京は梶山のパスを受けたFWルーカスがワントラップボレーを決めて先制点を奪った。アルディージャは、FW長谷川の投入でツートップに変更。38分に下平のアーリークロスを長谷川が競り、こぼれ球を途中出場の橋本が押し込んだがファウルの判定でノーゴールとなった。その後も最後までゴールへ迫ったが、追いつくことはできなかった。開幕白星を挙げることはできなかったが、強豪相手に連続得点は許さずに粘り強く戦い、着実にチャンスを作った。青木は「後半、運動量が落ちてポゼッションがうまくいかなくなったとき、ロングパスが多くなった。それでもセカンドボールを拾えれば良かったのだけど、押し上げが遅くなって拾えなかった。でも新しい選手たちが特徴を出していた」と、今後の積み上げに手ごたえを得た様子で話した。黒星発進は悔しいが、落ち込んでばかりはいられない。シーズンはまだ始まったばかりだ。
















鈴木 淳監督選手のコメント
  両チームとも非常にアグレッシブに、プレッシャーを掛けて攻める、という試合でした。勝点3を取ることができず非常に残念に思っています。
  前半に何度かあった決定的な場面で決められず、後半は攻撃が若干単調になってしまい、少し失速してしまった感じがします。もっとボールをつないでサイドチェンジをして攻めていければもっと良かったと思います。ですが、全体としてはそれほど悪い内容ではなかったし、今後も自信を持って戦っていける内容でした。

Q:ラファエルのプレーはどうだったか?

監督:体のキレもそれほどなく、コンディション的にはあまりよくなかったと思います。交代させるという手もありましたが、今後を考えると少しでも長い時間プレーさせて、他の選手とのコンビネーションを良くしていく、ということもあるので、あえて我慢してフル出場させました。

Q:後半途中からラファエルと長谷川の2トップにした狙いは?

監督:前線で2つの起点を作りたかった、ということです。東が前にいても悪くはなかったのですが、ラファエルがなかなか前で仕事ができなかったので、2トップにして、そこで起点を作って攻撃をしようという意図でした。

Q:明日で震災から1年だが?

監督:私自身も非常に苦しい思いでした。少しずつ復興して、人々も元気になってきているのではないかと思っています。ただ、残念ながらまだまだ苦しんでる人もたくさんいます。そういう人たちに向けて、ここで我々がサッカーをすることで元気になっていただければいいと思っています。選手たちもそういう気持ちを今日の試合に込めてやってくれたと思います。私も震災から1年という節目のタイミングで試合ができて非常にうれしいですし、そういうものを何か伝えたいと思っていました。そういう意味も含め、結果が出なかったことは非常に残念です。



下平匠選手コメント
  結果が出なかったのはすごく申し訳なく思います。前半に数多くチャンスがあったので、そこで点を取れていればもう少し違った結果があったのかなと、思っています。

Q:どんな気持ちで開幕戦を迎えたか?
下平:(前所属の)G大阪以外のユニホームを着るというのはもちろん初めてのことでしたし、いい緊張感でとても楽しくできました。

Q:前半チャンスを多く作れた要因は?
下平:みんなで連動して動けていたし、後ろからしっかり落ち着いてボールをつなげていました。後半は少しロングボールが多くなってしまった印象です。もう少しラインを押し上げたり、マイボールになった時に急いで縦パスを出してしまわず、横パスで動かせればよかったですね。

Q:サイド攻撃についての手応えと課題は?
下平:攻撃はヨンチョルといい距離感でやれていました。守備の部分で、声を掛け合うのが少し遅れてサイドを崩されかけることが前半に何度かありました。そういうところは修正したいと思います。

Q:失点後にチーム全体が失速してしまったように見えたが、要因はメンタル面か、あるいは別の部分か?
下平:僕が感じたのは、1点取られると少し落ち込み過ぎるというところです。というか、そこでもう1度気持ちを引き上げられるように、声を掛け合ったりということをもっとできればよかったです。今日は村上さんが途中で交代しましたが、そういう中でも個人個人が「自分がチームリーダーになるんだ」ということをもっとしっかりと意識しないといけないと思いました。

北野貴之選手コメント
   今日この日をいい船出にしようと、チームで1つになって一生懸命やってきました。非常に好ゲームで素晴らしい内容ではありましたが、結果を物にできませんでした。決められそうなチャンスがありながら決められなかったというのが僕たちの反省点ですが、手応えはありました。また練習で引き締めていけば、さらにさらに良くなる、という部分が見えたのではないかと思います。

Q:前半チャンスを多く作りながら後半は相手にペースを握られた中で、何を意識してプレーしていたか?
北野:失点してからの立て直し方がもう少しでした。そこは反省が必要ですね。もっと前でプレーできればよかったのですが、全体的に後ろに下がってしまい、相手の思うようにボールを回され、自分たちでボールポゼッションができなくなってしまいました。

Q:今日は今年の大宮の戦い方をどれぐらい表現できたか?
北野:「負けて強くなる」という言葉があります。もちろん白星スタートもいいですが、今年強くなるための負け、として非常にいい試合だったのではないかと思っています。今日の試合で悔しい思いをした選手がいっぱいいると思います。今後の練習ではみんなの目付きが変わってくると思います。次に期待してください。


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