アルディージャを定点観測してきたオフィシャルライターの方々に、それぞれの思いでベストイレブンを選んでいただきました。選定基準に縛りなし! 今回の選定者は、2003年からオフィシャルライターを続ける岩本勝暁さんです。
Vol.047 岩本 勝暁
私のベストイレブン
システム:4-4-2
FW:石原直樹(2009-2011/90試合/20得点)
FW:桜井直人(2005-2008/50試合/9得点)
MF:金久保順(2010-2012/45試合/4得点)
MF:小林大悟(2006-2008/90試合/14得点)
MF:小林慶行(2006-2009/91試合/10得点)
MF:金澤慎(2002-2005, 2008-2019/311試合/11得点)
DF:塚本泰史(2008-2011/27試合/2得点)
DF:河本裕之(2012, 2015-/153試合/11得点)
DF:菊地光将(2012-2019/211試合/13得点)
DF:渡邉大剛(2011-2015/148試合/12得点)
GK:荒谷弘樹(1999-2008/118試合/0得点)
監督:ベルデニック(2012-2013)
※カッコ内は所属年/大宮でのJリーグ戦出場試合数/得点数
推しの2トップを、ファンタジスタと天才肌が操る
外国籍選手を選考に加えると選択の幅が際限なく広がるため、条件を“日本人のみ"としました(監督は除く)。それでも、出てくる、出てくる。悩みに悩んだ末に、ようやく絞り込んだ11人。システムは4-4-2で、ゾーンプレスの守備戦術を採用しています。
あっさり決まったのが2トップです。一人は、石原直樹選手。身体能力が高く、ジャンプした後の空中姿勢に秀でていました。体のサイズはそれほど大きくありませんが、屈強なDFにも負けないフィジカルは今も健在。ケガもあり、アルディージャではスーパーサブとしての起用が多かったものの、間違いなく先発で輝くことができる選手です。
もう一人は、桜井直人さん。代名詞でもあるドリブル(サクドリ)を一度でも見たら、彼の虜になること間違いなし。2005年のさいたまダービーで決めた決勝ゴールは、本当に痺れました。僕にとって、この2トップは“鉄板"。なので、MFからはこの2人を生かすことができるパサータイプの選手を中心に選ぶことにします。
2列目の左サイドは金久保順選手です。一言で言うと“天才肌"。あるいは“センスの塊"。広い視野と豊富なアイデアを持ち、彼がボールを持つだけでワクワクしたものです。もしも、金久保選手がピッチの王様になっていたら……。そんな想像をしたのは一度や二度ではありません。
右サイドは小林大悟選手。アルディージャ初のファンタジスタと言っても過言ではないでしょう。右足の精度が高く、司令塔として決定的な仕事を何度もしてきました。日本代表のピッチに立ったときは本当にうれしかったです。
ダブルボランチは、小林慶行さんと金澤慎さんです。クレバーなプレーが武器の小林慶さんは、中盤のあらゆる位置で存在感を発揮。“和製グアルディオラ"の愛称にピッタリの選手でした。2008年シーズンの川崎戦で決めた55メートルの超ロングシュートは、サッカー史に残るスーパーゴールだと思います。また、金澤さんのアルディージャでの出場試合数「311」は、当分破られることのない大記録。背番号「23」を受け継ぐ選手が現れることに期待しましょう。
右のサイドバックは渡邉大剛さん。アルディージャでは右のサイドハーフを務めることが多かったですが、ポジションが被るためサイドバックに入ってもらいました。サッカー選手としてのスキルはもちろん、その人柄からは責任感があふれ出ていました。ミックスゾーンでの立ち居振る舞いも素晴らしく、周囲への気配りなど全てにおいてプロフェッショナルでした。
左サイドバックは塚本泰史さんです。本来は右サイドが主戦場でしたが、渡邉さんを入れたため左にズレてもらいました。選んだ理由は、もちろん右足の精度です。2009年シーズンの京都戦でFKを決めた瞬間、興奮のあまり記者席の机を“バン!"と力いっぱい叩いてしまったのはいい思い出。加えて、どの試合だったか忘れたけれど、右サイドから左のオープンスペースに蹴ったロングフィードの精度にも驚かされました。バックスピンがかかっていて、パスの受け手の手前でピタリ。世界に通用するキックだと心の底から感心しました。
センターバックは、アルディージャで長くコンビを組んできた河本裕之選手と菊地光将選手にお願いしました。河本選手のフィード力、菊地選手の空中戦や対人プレーの強さはアルディージャにとって大きな財産です。現役の選手に対して失礼かもしれませんが、トニーニョさん、奥野誠一郎さんのコンビに匹敵するアルディージャの“レジェンド"ではないでしょうか。またいつか、2人がコンビを組んだところを見たいと思っています。
GKは荒谷弘樹さん。190cmを超える長身もさることながら、厚みがあって側にいるだけでものすごい圧力を感じます。現在はU18でGKコーチを務める荒谷さん。アルディージャのゴールマウスに立ちはだかる未来の守護神を育ててほしいものです。
監督はズデンコ・ベルデニックさんです。途中の失速はありましたが、2013シーズンの快進撃は圧巻でした。特に18戦不敗のJ1新記録を打ち立てたさいたまダービーは、アルディージャ史上に残るベストゲームの一つ。“強いアルディージャ"を感じさせてくれた一戦でした。
岩本 勝暁 (いわもと かつあき)
2002年にフリーのスポーツライターとなり、サッカー、バレーボール、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ大会から2016年リオ大会まで4大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。2003年から大宮アルディージャのオフィシャルライター。