Vol.006 高須 力「僕の背中を押してくれる人々」【ファインダーの向こうに】

クラブ公式サイトなどで目にするアルディージャの写真は、その多くがプロのカメラマンが撮影したものです。彼らが試合中に見ている選手たちの姿は、スタンドから見ているそれとは少し違います。ファインダー越しにしか見えない風景を、クラブオフィシャルカメラマンが綴ります。



Vol.005 高須 力

僕の背中を押してくれる人々


僕はNACK5スタジアム大宮が好きだ。大きくはないけれど、サッカー専用だからピッチが近い。高さのないバックスタンドなら、体がぶつかり合う音や選手たちの息づかいまで聞こえるし、ゴール裏は傾斜がキツいから、ピッチから見ると立錐した断崖のように見える。

そのゴール裏に陣取りオレンジの圧力をかけるサポーターは、イメージ先行で怖い人たちが多いのかと思ったけれど、本当はそんなことはない。チームが良い結果を得られないとブーイングが起きる。アルディージャを愛しているからこそ、時には厳しく意思表示をする。でも最後には拍手で選手たちを送り出す。僕たちカメラマンがスペースのないゴール裏を移動するとき、寝かせているフラッグを少しズラして歩きやすくしてくれる優しさもある。

行楽シーズンになると、スタンドや大宮公園でサポーターを撮影することがある。ほとんど全ての人が快く引き受けてくれる。そして「良い写真を撮ってくださいね」と、温かい言葉をかけてくれる。押しつけではなくて、他者を尊重し、受け入れる愛を感じさせてくれるのが大宮アルディージャのサポーターだと思う。

カメラマンは良い写真を撮るのが仕事だ。でも、カメラマンだって人間だから、モチベーションを保つことができないときもある。だけど、どんなときでも選手たちを包み込んでいるサポーターを見ていると、少しでも皆さんに喜んでもらえるような写真を撮りたいと背中を押してくれる。そんな力がNACK5スタジアム大宮にはある。


髙須 力 (たかす つとむ)
1978年、東京都出身。02年に独学でスポーツ写真をはじめ、2006年よりフリーランスとなる。サッカーを中心に様々な競技を撮影。2007年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマン。

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