今野浩喜の「タダのファン目線記」 欧風カレーgii編②

今野さんが“タダのファン目線”でクラブ関係者らに逆取材を敢行するシリーズ企画から一転、今野さんが行きたい場所・やりたいことをただただリポートするという、迷走するコーナーとなった本連載。前回に引き続き、欧風カレー専門店『gii』の戸井田さんとカレー談議に花を咲かせました。


辛さの前に来る甘味の秘密

今野「ここは、昼のアイドルタイム(ランチとディナーの間の休憩時間)を取らないのは何でなんですか?」

戸井田「やっぱり、いつでも来ていただけるように」

今野「それが本当に助かるんですね」

戸井田「いつでも開いてると思ってもらうことが大事かと」

今野「俺、晩御飯がだいたい16時くらいなんですよ」

戸井田「普通の飲食店は……」

今野「どこもやってないですよ」

戸井田「そうですよね」

今野「ここは絶対に開いてるから、すごい助かるんです」

戸井田「ありがとうございます」

今野「いいよなぁ。トッピングとかはここで調理しているわけですか」

戸井田「そうですね」

今野「カレーは辛口派ですか?」

戸井田「真ん中がいいですね。辛いのもいけるんですけど、やっぱり味わうためには」

今野「中辛ですか」

戸井田「まかないで食べるのは、最近お腹が出てきたからおさえてるんですけど(笑)、中辛ばっかりですね」

今野「ほほぅ」

戸井田「それが一番美味しく食べられると思っています」

今野「なるほど」

戸井田「辛いの好きですけどね」

今野「でも、辛すぎて味がわからないときがありますよね」

戸井田「だから、やっぱり中辛だと思います」

今野「俺はどうしても辛口にしてしまうんです。でも、ここは辛口だろうが、最初に甘いじゃないですか」

戸井田「そうですね。甘さのあとに辛さが来る、二段階になっています」

今野「それですよね」

戸井田「はい」

今野「そこはどうやってるんですか?」

戸井田「甘味はフルーツで取っています。マンゴーとか桃とか梨とか。その季節によって、いろいろ変えています」

今野「そうなんだ! じゃ、季節によって味が違うんですか?」

戸井田「多少ですね」

今野「へ~、じゃあ、あれなのかな。舌っていうのは最初に甘さを感じるんですかね?」

戸井田「う~ん、そういうシステムになってるんじゃないですかね(笑)」

今野「辛さって、痛さらしいですからね」

戸井田「へ~」

今野「かき氷で頭がキーンとなるじゃないですか」

戸井田「はいはい」

今野「あれは脳がバグってるらしいんですよ。冷たさを痛さと感じてしまうとか」

戸井田「へ~」

今野「なので、冷たいと念じながら食べると、頭痛くならないらしいです」

戸井田「ホントですか!?」

今野「本当です。脳に言い聞かせながら食べるといいらしいです。そう考えるとカレーはどう念じて食べればいいんだ?」

戸井田「……」

今野「舌が痛くなるのも……でも、あれは本当に痛いか」

戸井田「そうですね。しびれる感じもありますね」

今野「ここは、中辛もそこそこ辛いですよね」

戸井田「そうですね。うちの中辛は、ご家庭での辛口くらいになっています」

今野「あぁ、やっぱり。じゃ、辛口は結構辛いほうなんですね」

戸井田「そこまで大袈裟に辛いってわけじゃないですけど、中辛よりは」

今野「ここの辛口を食べたときに出てくる汗、あれが気持ちいいですよね」

戸井田「はい(笑)」

今野「お客さんは、中辛を頼む方が多いですか?」

戸井田「そうですね。中辛が一番出ます」

今野「お子さんは?」

戸井田「お子さまの場合、甘口の下に甘甘口っていうのを用意しているので」

今野「へ~。そういうのもあるんだ」

戸井田「お子さま向けですね」

今野「本当に美味しい店だし、ご近所さんはたぶんみんな知ってるじゃないですか」

戸井田「はい」

大友さん来たことない問題

今野「それが(小声で)……先月取材した大友さん、ここの裏くらいに住んでて、そこの公園で遊ぶくらいで、『あそこは裏口からも入れますよね』なんてことも知っているのに、お店に来たことないって言うんですよ」

戸井田「あっ、そうなんですか(笑)」

今野「ひどいと思いませんか?」

戸井田「……」

今野「あのときも、今日のような取材を30分くらいはやりましたかね。なぜ行かないって話で終わりそうになりましたよ(笑)」

戸井田「あははは……」

今野「しかも、一番好きな食べ物はカレーだって言うんですよっ」

戸井田「はい」

今野「それで来てないんだから。ラーメン屋は一度行ったって言ってたかな……。ホント、納得がいかないですよ(笑)。そう言われても困るでしょうけど」

戸井田「近所の方は、いつもここの道を通るとき、土日とかは結構混んでいるので……」

今野「人気のお店だってことも知ってましたよ」

戸井田「いつも混んでるからって、少し敬遠する方もいるかもしれないですね」

今野「そういうことか」

戸井田「たまたますいてたから入ったら美味しかった、と言われることもあります」

今野「機会があったら伝えておきますよ」

戸井田「ありがとうございます」

今野「ずっとやってるからって」

多彩過ぎるオーナー

戸井田「一歩の勇気ですよね。入ってみる」

今野「あははは……。内装もお洒落だし、入りづらいってことはない。お洒落すぎて入りづらいって人もいるのかな。これもオーナーさんの趣味ですか?」

戸井田「そうですね。オーナーが改装して、全部イチから。デザインのほうも強いので」

今野「へ~。そうだ、さっき紙ナプキンがオーナーの顔じゃないかって話を」

戸井田「自分もそうだと思うんですけど、架空の人物って言ってましたね」

今野「そう、これこれ」

戸井田「それもオーナーがデザインしたんです」

今野「そうなんですかっ。何者なんですか?」

戸井田「いろいろやっていますね。デザイン系の仕事とか、メーカーのバッグのデザインを担当したという話を聞いたこともあります」

今野「多才なんですね」

戸井田「20年少し前、自分が田舎から出てきたときはラーメン屋の2階に住まいがあって、そこに住まわせてもらってたんです。そこはオーナーがたまに使っていた部屋みたいで、油絵とかありましたからね」

今野「へ~」

戸井田「だから、自分で図面を描いたりもできるんですよね」

今野「すごい人ですね」

戸井田「味を作り上げるすごさはありますよね。カレーにしても、ラーメンにしても」

今野「何やってもうまくいく人なのかな」

戸井田「もちろん、努力もすごいと思います」

店名の由来でまさかの展開

今野「ところで店名になっている『ギー』って何ですか?」

戸井田「ヤギのミルクの油ですね。牛のミルクの油がバターじゃないですか」

今野「へ~、ヤギのミルクから作ったバターを『ギー』って言うんですか」

戸井田「そうです」

今野「それを使ってるんですか?」

戸井田「使ってないです」

一同「(爆笑)」

今野「即答!」

戸井田「響きがいいからつけたらしいです。僕も最初そこが疑問で聞いたんですけどね」

今野「あははは……。確かに『バター』よりは『ギー』のほうがいいですね」

戸井田「そう思います」

今野「ここ、お休みは?」

戸井田「年末年始の3日間だけで、あとはずっとやってます」

今野「え!?月曜から日曜まで?」

戸井田「はい。以前は月曜日を定休日にしていたんですけど」

今野「すごっ!」

戸井田「やっぱり、お客さんにとっていつでもやってるというのが大事なので」

今野「何時から何時ですか?」

戸井田「オープンが11時15分、夜は21時30分までです」

今野「チェーン店とかよりもやってる感じですね。すごいな。お休みあるんですか?」

戸井田「ありますあります」

普通は、なりゆかない……

今野「戸井田さん、ご家族は?」

戸井田「犬が4匹います。トイプードルが。母親と4匹の犬が家族です」

今野「名前は?」

戸井田「(笑)。名前ですかぁ?」

今野「はい。名前は自分でつけたんですか?」

戸井田「いや、なりゆきで」

今野「なりゆき?」

戸井田「お母さんがテンテン、お父さんがタロウ、その子どもがピカチュウとキュウキュウ」

今野「どういうこと?」

戸井田「なりゆきで決まりました。自然と」

今野「キュウキュウは、そんな感じで泣いてたとか?」

戸井田「それはありますね」

今野「それは納得いきますけど、ピカチュウは?」

戸井田「いつの間にか、自然と」

今野「自然とピカチュウになるのは、ピカチュウ以外いないんですよ」

戸井田「不思議ですね(笑)」

今野「もじるとかじゃなく、そのままピカチュウなんですね」

戸井田「はい」

今野「最後におもしろい話が聞けてよかったです。ありがとうございました」

戸井田「こちらこそ、ありがとうございます。大丈夫ですか、こんな感じで」

今野「はい。いつもどおりです。今日はごちそうさまでした」

戸井田「はい。またぜひ来てください」


構成:粕川 哲男

協力:欧風カレーgii
〒337-0053 埼玉県さいたま市見沼区大和田町1-1527
Tel 048-767-8331

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